仮想化はユビキタス化へ

仮想化技術に急速に注目が集まっている。先日紹介した デスクトップの仮想化もあるが、 本命はサーバとストレージの仮想化である。
仮想化がもたらすIT社会へのインパクトを考えてみよう。

サーバとストレージの仮想化とは

コンピュータのハードウェアを仮想化し、 1台のサーバ上で複数のOSを動かしたり、
逆に複数のサーバ上で1つのOSを動かすのが、サーバの仮想化である。 さらには複数のサーバ上で複数のOSを動かし、
稼働率に応じてどのサーバでどのOSを動かすかを、 ダイナミックに変更できる仮想化も現れ始めた。

特にマルチコアプロセッサの登場が、サーバ仮想化の流れを加速している。
圧倒的に高性能な1チップの中で、それほど負荷の大きくないシステムを 多数動かせれば、大幅なコストダウンになるからである。

ストレージの仮想化も、サーバの仮想化と同様である。 複数のストレージを一旦まとめてから複数に分割し、
それぞれ容量を必要に応じて変更できるのが、 ストレージの仮想化である。

仮想化は計算資源のコモディティ化を進める

Intelは、デスクトップコンピュータの共通規格を定め、
CPU、メモリ、ハードディスク、周辺機器といったハードウェアのコモディティ化を実現した。
Windowsはハードウェアのコモディティ化を促進すると共に、
ソフトウェアの開発環境を規格化してアプリケーションソフトをコモディティ化した。
このハードとソフトのコモディティ化は、デスクトップPCだけでなく、
性能が向上するに従ってサーバ分野のコモディティ化も大きく進展させることとなった。
また、インターネットはネットワークのコモディティ化である。

そして、仮想化はコンピューティング(=計算資源)のコモディティ化を促進するものである。 そこにはハードウェアという概念はなく、
必要なだけの計算パワーと必要なだけの記憶領域が提供できればよい。 したがって、必要最小限のハードウェアさえを準備すればよく、
最新の安いハードウェアを徐々に追加導入することで、トータルコストを下げられる。
ユーザは、同じ計算資源を低コストで利用できるようになる。

仮想化はユビキタス化へ

パソコンのコモディティ化は、1人1台のコンピュータ普及に大きく役立った。
サーバのコモディティ化は、これは企業のIT化が大きく進む原動力となった。
ネットワークのコモディティ化は、インターネット社会という新しい社会を作り上げた。 そして、仮想化はユビキタス社会に導く。

サーバの仮想化によって、多数の小さなシステムを動かすインフラができる。
そうなると、多数のセンサをネットワークで接続したセンサネットワークに使える。 センサネットワークで収集される大量の情報を、
それぞれの場所でローカルに処理し、 ローカルな情報提供サービスと利用しやすくすることができる。
これはユビキタス社会の一つの形である。

また、多人数の個人デスクトップ環境を、仮想化されたストレージに格納し、 仮想化されたサーバから個別に起動できるようになる。
そうすると、携帯電話のような小型の入出力端末さえあれば、 どこでもコンピュータが利用できる。
これもユビキタス社会の一つの形である。

本コラムでは、7年前からたびたびユビキタス社会や、 それを実現するユビキタスコンピューティングを取り上げたが、
なかなか進んでいないのも事実である。 サーバとストレージの仮想化は、
ユビキタス社会への一つのブレークスルーとなりうる技術である。