おサイフケータイはユビキタス社会の鍵となる

NTTドコモがiモード携帯電話とICカードを組合わせた 「おサイフケータイ iモードFeliCa」サービスを開始した。 がんばれエディでも紹介した電子マネーEdyも携帯電話から使うことができる。
最初、このサービスを知ったときは、 「また、少額決済の電子マネーか、ここ数年出ては消えの繰り返しだったなあ」
という感想しか抱かなかった。 しかし、よく調べてみると、これまでの失敗をよく分析しており、
爆発的普及の可能性を秘めているかもしれないと考え直した。

iモードFeliCaサービス「おサイフケータイ」

まずは「おサイフケータイ」の概略を示そう。 簡単に言えば、JR東日本の定期券やプリペイドICカード”Suica”にも使われている
ソニーの非接触ICカードFeliCa(フェリカ)を、iモード携帯電話に内蔵したものである。

電子マネーEdyがプリインストールされており、 Edy加盟店9000店舗で即座に利用できる。
また、JR東日本のプリペイドカードSuicaや、 全日空の搭乗券の代わりになり、 携帯電話をかざすだけでゲートを通ることができる。
他にも、ドラッグストアやビデオレンタル店や電器店のメンバーズカードにもなる。
最近では、コカ・コーラの自動販売機でドリンクを購入することもできるようになった。
社員証に利用して、社員食堂の支払いに使う企業も現れた。

特長をまとめると、支払いがキャッシュレスになること、 駅や空港での乗車・搭乗がスムーズになること、
多数のメンバーズカードが1つに集約されること、 であろう。

どこが、これまでの電子マネーと違うのか

これまでの電子マネーは、 ICカード型やインターネットのオンライン取引きに限定されたものがほとんどであった。
オンライン取引きに限定されたものは、そもそもリアルな買い物には使えないので除外する。
従来のICカード型電子マネーの普及を阻害する要因は、
チャージが面倒である、利用できる店やサービスが限定されている、という問題点を抱えていた。
Edyは積極的なサービス連携で加盟店を増やし、 便利そうだが使えるところが少ないというというユーザの不満を解消しつつある。
しかし、チャージが面倒という問題は解決できていなかった。

「おサイフケータイ」はEdyと同等なので加盟店は最初から豊富であり、 チャージもiモード経由でいつでもどこでも可能である。
つまり、ICカードがインターネット接続を持ったことで大きく前進した。

携帯電話との統合のもう一つの隠れたメリットは、GUI画面を持てることである。 ICカード単体では中身が見えない。
メンバーズカードや搭乗券の代替になったとしても、 内部に格納されている情報を見るには、何らかの端末を必要とする。
それが携帯電話と統合することによって、 多種多様なサービスや情報を取り込んでも、 GUI画面から確認することができる。
実は、この安心感や利便性が大きく違う。

「おサイフケータイ」の利用意向調査によると、
40%強のユーザがセキュリティやプライバシー保護に不安を感じているという。
もちろん、紛失時のレスキューサービスやチャージ上限5万円の設定、 遠隔ロック機能等、ユーザに安心感を与える工夫もいろいろある。
一部の携帯電話には組込まれている指紋認証も いずれ連携し標準搭載されるであろう。

ユビキタス社会へのブレークスルーになる

これまで数多くの電子マネーが登場したが、 市民権を得たと言えるほど普及したものはない。
もし、「おサイフケータイ」が普及したならば、 それは単にユーザが少し便利になるだけではない。
ユビキタス社会の鍵にとなる可能性がある。

2000年に始まった政府のIT政策「e-Japan」の目標として、
誰もがインターネットを使えるようなネット社会がイメージされた。 実際、ブロードバンド(ADSL)は数多くの家庭に普及し、
一方で携帯電話でメールをやりとりする光景は日常となった。

次はユビキタス社会の到来を目指す 「u-Japan」だという。 ユビキタス社会は「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」
ネットワークに簡単に接続できる環境が整備され、 ユーザの新たなニーズを満たすと共に、新しい産業が興ることが期待されている。
そこで始まる多種多様なサービスは、ちょっとしたものであるが、 その時々で便利なものであるだろう。
それは数十円〜数百円の小さな単位でその場で買えなければ意味がないが、 現在簡単に支払う方法がないことがネックなっている。
したがって、携帯電話を利用した少額決済サービスは、 ユビキタス社会へ導くブレークスルーとなりえるのだ。

ただし、「おサイフケータイ」が本当に通貨の代わりになるには、 ユーザの意識改革も欠かせない。
クレジットカードやプリペイドカードに慣れるまでにも十年単位の期間を要した。 電子マネーというバーチャルな存在を自然に受け入れるには、
一世代かかるかもしれない。 それでも時代は確実にコインが無くなる日は近付いている。