ユビキタスラーニング

インターネットの BtoBあるいは BtoC アプリケーションとしての eラーニングは、目立った成長はないものの、
確実に裾野を広げつつあり、今後成長が期待される分野である。

eラーニングと類似した言葉として、ユビキタスラーニングという言葉もあるようだ。
“言葉もある”というより、単にはやりのキーワードを結びつければそうなるのだが、
この言葉の用いられ方は、現状、eラーニングとの間に大きな相違はない。
「ユビキタス」といえば「いつでもどこでも」というのがキーワードになるのだが、 通常
eラーニングという場合は、「いつでも」に関してはともかく、 「どこでも」に関しては、学校や職場以外でも学習できる、
というような意味であって、本当に「どこでも」学習できる、 という観点ではあまり考えられていないようだ。

「どこでも」

さて「どこでも」といっても考えられるのはどんな場所だろうか。 すぐに思いつくのは、自宅以外では、
通勤通学の電車の中、街中で、あるいは旅行中といった状況が考えられる。
どこでも学習できるとなれば、端末はPCではなく、当然携帯端末となる。 弊社が行った インターネットアンケートによれば、 携帯電話を使った eラーニングに対して、半数近くが前向きな回答を寄せたという。
ちょっとした空き時間に学習するとか、 日常生活の中でちょっとした疑問をその場で解決するといったことは、
意外とニーズが高いのではないだろうか。 たとえば、通勤時間に語学の勉強をする、
英単語を覚える、社会科見学の場で関連する歴史をのぞいてみる、 見つけた昆虫や草花の名前をその場で調べる、などなどである。

誰もが経験あるユビキタスラーニング

いうまでもなくこれらの学習は、携帯プレーヤーや 電子辞書、百科事典、図鑑などをもし持ち歩いていれば、
どこででも可能なことは可能である。 電子機器によらずとも、学生時代、学生服のポケットに
「でる単」
を忍ばせていた方も多いだろう。 となれば、ユビキタスラーニングとしてまず考えられる要件は、
語学教材や辞書、百科事典、 図鑑などをコンパクトに収納した携帯端末の実現ということになろう。 mp3
プレーヤーにインターネットの語学教材をダウンロードして通勤電車の中で聴くとか、
電子辞書を持ち歩いて、知らない単語を見たその場ですぐに調べる、 というのも立派なユビキタスラーニング端末といえる。
こういったことは、すでに多くの人が経験していることでもある。

そのように考えると、ユビキタスラーニング自体は、 手段を問わなければ、誰もが今までにも何らかの経験をしているわけで、
当然今後のニーズもあると考えてよかろう。 未来のユビキタスラーニング端末にはどんな機能が備わっているべきだろうか。

未来のユビキタスラーニング端末とは ?

ユビキタスの重要なキーワードとして、「アウェアネス」というものがある。
ここでのアウェアネスには、時間、場所、状態などの状況を理解して、 という意味がこめられている。
では、ユビキタスラーニングにおける状況とはなにか?

第一に、学習する際の外的環境がある。 学習者の置かれた位置や時間に応じて、関連する情報を提供したり、
学習プログラムを変えてくれたりするものだ。 社会科見学で、関連する歴史上のトピックスを教えてくれたり、
晴れた夜に星座のガイダンスを流して外に出るように促してくれたりする。 以前にこのコラムでも紹介しているハイブリッド水族館 はそのひとつの試みだ。
訪れるさまざまな場所でこのような情報提供が可能になれば、 子ども達にとっての学習する喜びは大きく広がるだろう。 また、
学習者がカメラ付き携帯電話でとった昆虫や植物をその場で百科事典と参照できる機能があれば、 夏休みの自由研究もはかどりそうである。
何より、疑問に思ったその場で学習できるというのが良い。 街中や観光地で、 立ち寄ったスポットに関するトリビアを提供する機能があれば、
実生活では何の役にも立たないかもしれないが、 単純に興味を引く面白いコンテンツも提供できるだろう。

第二には、学習者の状況がある。すなわち、習熟度や達成状況、 あるいは学習者の興味である。興味のない内容が延々と繰り返されたり、
理解できていないのにどんどん先に進まれたりするのは本当に辛いものである。 教材の一方的な提供ではないインタラクティブな学習が望まれる。
興味のカスタマイズや習熟度や達成状況に応じた教材のオンデマンドダウンロードといったところが必要になってくるだろう。電車の中では聞くだけで、
家に着いてからパソコン上でそれをテストし、 その成績に基づいて次の日の教材が決まる、といったような連携も面白い。
あるいは、学習者の集中度をセンシングし、 それに応じて提供するプログラムをダイナミックに変えていく、 というようなことも考えられる。
集中度のセンシングといってすぐに思い付くのは、 視線や瞬きをもとにした居眠り運転防止技術の研究である。 通勤電車の中でも、
ヒアリング教材など聞いていると、ついうとうとしてしまうものである。こんなとき、 「Don’t
Sleep」などといって怒ってくれるのもそれはそれでよいだろうが、
車の運転と違って寝たからといって事故を起こすというわけでもないのだから、 違う話題に変えてくれたり、
時にはそのままプログラムを打ち切って優しく寝かせてくれるなんていうのも、 なかなか気の利いた未来型の機能といえる。