いつでもビデオ編集できる環境を

今や携帯端末や携帯電話では、動画が当たり前のように使われている。 端末の内蔵カメラで動画を撮影し、それをメールで送り合う、
あるいはテレビ電話として使える端末さえ登場している。 これらは人と人とのコミュニケーションでの利用になるが、
それ以外の利用法はどうだろうか?

携帯端末で映像を見る

以前から言われている利用法としては、 携帯端末や携帯電話でテレビを見るというケースがある。
確かに電車やバスを待っている時や乗っている間の暇つぶしには好都合だろう。
しかし携帯電話で配信される映像を見る場合、常に通話圏内でなければならない上に、
現在の通信速度(実効20〜300kbps)では映像品質に不満が残るし、 長時間になれば通信コストも気になるところだ。
それならば、携帯端末と無線LANの組み合わせを活用できればいいのだが、
車内で手軽に利用できるケースはまだ少ないのが実状である。

現状で映像品質と通信コストの両方を満足させるためには、 SDカードやメモリースティックのような記憶メディアに映像を保存し、
それを携帯端末で再生するほかないだろう。 例えば、このようなビデオレコードカードを利用する、 あるいは、録画・録音・再生に特化した専用プレーヤーを持ち歩けば良い。
しかし、残念ながらこのようにして映像を見ている人をほとんど見かけたことがない。

外出先から映像をリモート編集する

それでは映像を見るのではなく、携帯電話で映像を編集するのはどうだろうか?
自宅やオフィスにある映像素材を外出先からリモート編集するのである。 例えば、我が子の成長を撮影したミニDVテープや、
好きな番組を録画したVHSテープが貯まってしまい困っている人も多いはずだ。
実際、私個人も、PCでキャプチャしたり、パーソナルビデオレコーダ(ハードディスクを利用したビデオレコーダ)で録画したテレビ番組がそのままになっている。
最近は記録型DVDメディアに容易に保存できるようになったため、 そのまま編集せずにダビングしてしまえば楽なのだが、
それでは単なるメディア変換にすぎず、 好きな歌手のシーンだけを残したいという望みは叶えられない。

そこで、必要な部分をPCで編集することになるわけだが、 映像編集はとても時間のかかる作業である。
トランジションやテロップまで懲り出すと、まさにキリがなくなってしまう。 動画編集に立ちはだかる壁(2002.10.29 Take IT Easy)
でも触れられているように、最も時間のかかる部分は映像のエンコードであるが、 編集はその前にやらなくてはならない。
複数の映像ファイルに対して、必要な編集を先にまとめて作業した後、 エンコードはバッチ処理で進められるソフトを利用すれば、 ある程度は効率的に作業できるが、
やはりPCの前に座って編集しなければならないのはいささか億劫な話である。
だからこそ、録ったままになっている番組が多いわけだが。

リモート編集するためには

では実際に携帯電話からリモート編集するにはどんな機能が必要だろうか?
さすがに複雑な作業は難しいので、不要なシーンを選んで排除した上で、 PC側でエンコード処理を開始させる程度は実現したいところである。
そのためには、PCやAV機器のハードディスクに保存された映像ファイルから、 シーンが切り換わるポイントを自動的に検出し、
それを携帯電話で確認できなければならないだろう。 シーンチェンジの自動検出は一部の民生用ソフトでは既に実装されている機能だが、
残念ながら検出した映像クリップをそのまま編集作業に活用できるソフトはまだないようである。

さらに望むならば、人名を入力するだけで特定の人物の登場シーンだけが自動抽出できると良い。そうなれば、グループ内の好きなメンバーやチーム内のお気に入りの選手だけの映像クリップが楽に編集できるようになる。
この機能も、該当ファイルに対するMPEG-7メタデータさえあれば技術的には実現できるのだが、
このようなMPEG-7メタデータを人間の介在なく自動生成するのはまだ難しい。

必要な時に気軽に使えてこそ価値がある

しかし、たとえこのような編集環境が整備されたとしても、 編集したい映像が自宅でスタンバイされていなければ意味がない話である。
既に映像がハードディスクに保存されていれば問題ないが、
テープに記録されている場合には、テープを入れたビデオデッキやDVカメラを直接制御する必要がある。
携帯電話やインターネット経由で録画できるビデオデッキは増えてきたのだから、
簡単なリモート編集作業を受け付けるビデオデッキの登場も期待したいところだ。

テレビを見る、あるいは映像を編集する、いずれにしろ、 外出先での空き時間にふと思い立って作業することを考えれば、
まずはそのような環境作りから始めなければならないかもしれない。
このようなニーズは、オン・デマンドに利用できてこそ価値があるのだから。