PCと連携できるパーソナルビデオレコーダが欲しい

ポータブルオーディオプレイヤーやビデオレコーダ、カーナビなど、 PC以外でもハードディスクドライブ(HDD)の使われる場面が増えてきている。 特にパーソナルビデオレコーダ(以下PVR)は、 従来のビデオデッキに取って代わる勢いを秘めている。

一度使い始めたら止められない

PVRの便利さは、一度使ってみないとわからない。 HDDの特性を生かした追っかけ再生や高速頭出しなどもさることながら、 最も便利なのはやはりテープやディスクなどのメディア交換が不要という点に尽きる。 つまりビデオデッキのように今入っているテープの内容や残量を気にせず録画できるため、 電子番組表(EPG:Electric Program Guide)や外出先から録画予約するような時にも好都合だ。

さらに、VHSビデオデッキやDVD-R/-RAMレコーダと一体化し、 HDDに記録した映像をビデオテープやDVD-R/-RAMディスクに保存できる機種も登場している。 ランダムアクセス可能で場所を取らないDVDメディアなら使い勝手も損なわれない。

もちろん、ビデオキャプチャ・カードと書き換え型DVDドライブがあれば、 PCを使っても同じような録画環境を実現できる。 さまざまなソフトウェアを利用できるPCの方が編集という点では勝っているが、 家電製品として作られたPVRの方が、使いやすさと安定性では一枚上手だ。

書き換え型DVDメディアより安いHDD

自宅では、一度HDDに記録した映像の気に入った部分だけをDVD-Rに保存する作業を繰り返しているが、 綺麗な画質で保存しようと思えば思うほどメディアの枚数は多くなってしまう。 私の環境では、最高画質で記録した場合、DVD-R1枚に1時間しか記録できない。 いくら場所を取らないDVDメディアであっても、 枚数が多くなれば管理の手間はVHSテープと変わらなくなってしまう。

現在の小売価格を見てみると、DVD-RAM/-RW/+RWといった書き換え型DVDメディアは、 1枚当たり700円弱で手に入る(国産品の場合)。 1枚4.7GB記録できるとすれば、1GB当たりの単価は150円弱になる。 一方、毎年順調に低価格化・高密度化が進んでいるHDDは、 今では1GB当たり130円を切る製品も手に入るようになった。 つまり、1GB当たりで比べれば今はHDDの方が安い状況にある。

このように考えると、今あえてDVDメディアに保存するよりも、 別のHDDに保存しておく方がトータルコストは抑えられるかもしれない。 もちろんHDDが故障する可能性や、 今後書き換え型DVDメディアが安くなる可能性は否定できないし、 ライトワンスのDVD-Rメディアならば、現時点でもHDDより安く手に入る。 しかし、一度保存した映像を後で再び見るケースは現実にはとても少ない上、 次世代DVDの行く先も不透明な現状では、 外付けHDDへの暫定的保管も十分考慮に値するだろう。

PCと連携可能な製品に期待

しかし、現在のPVR製品の多くはメーカ独自のHDD増設サービスが多少行われている程度で、ごく一部の機種を除いて外部HDDの増設は残念ながらできないようになっている。 また、HDDチェック機構や、当初の内蔵HDDに録画・再生用の独自プログラムが書き込まれているため、 秋葉原で購入した大容量HDDに換装しただけでは正常に動作しない場合が多い。

こうした制限がある背景には、録画した番組をデジタルデータ(MPEG2ファイル)として扱わせたくないという著作権管理意識が働いているようだ。 技術的にはIEEE1394のコントローラとインタフェースさえあれば容易に実現可能なはずで、こうして外付けHDDに保存した映像を編集環境の整ったPCに移行できれば便利なのだが、実際に用意されているのはアナログ出力のみである。

オーディオプレイヤーの世界では、 「NetMD」というPCとの連携を意識した製品が既に登場しているが、 ここでは著作権保護技術「OpenMG」が使われている。 しかし映像を扱う世界では、まだ同様の著作権保護技術が確立されていない。 コピー回数を制限するのではなく、同一データの唯一性に根ざした映像データ用の規格・技術の提唱・普及を期待したいところである。 さらに、PCの世界では当たり前となりつつある、HDD自体をリムーバブルメディアとして使えるようになるとさらに便利である。 PVRでも、例えばiVDRに基づく製品などが利用できるようになれば、PCとの連携も進むのではないだろうか。