6月29日、NTT東日本・NTT西日本によるLモードのサービスが開始された。 「iモードの二番煎じ」「キャプテンシステムの再来か?」など否定的な意見も多く聞かれ、私自身もサービス内容を聞いた限りではあまり食指が動かない。 果たして、Lモードの普及は見込めるのだろうか?
意外に期待できる面もある
Lモードは、主婦層や高齢者層をターゲットに普及を図るらしい。 「パソコンの使い方はわからないけど、メールは送りたい、 インターネットしたい」という人々にとっては、Lモードは朗報なのかもしれない。 逆にパソコンや携帯電話でメールを利用している我々にとっても、 そういう人々がメールを利用できるようになるのは好都合だ。
電話器は、冷蔵庫と同様、家電製品の中で常に電源が入れられている。 さらにテレビと同様、外界から情報を得られる機械でもある。 そう考えると、 今までこのような情報サービスが受けられなかったことが不思議に思えるが、 メールの送受信に限れば、日本テレコムの「でんわdeメール」やKDDIの「α-Eメール」といったサービスが既に行われており、 特に目新しいサービスでもない。 生活に密着した、地域に根差したコンテンツの提供こそLモードの真価が問われるサービスであり、この点は大いに期待したいところだ。
とても普及は望めない理由
しかし、今のままではとても普及は望めないというが本音である。 コンテンツのメニューはiモードそのままだ。 利用対象者や利用シーンが携帯電話とはまったく違うのだから、 メニュー構成が異なるのは当然だ。音声ポータルサービスの導入や、 プッシュ型の情報提供を行わなければ、とても使ってもらえないのではないだろうか。 最近多く放送されている、テレビの生活情報系番組や、 地域色の濃い広告チラシとの連携も視野に入れるべきだろう。
また、電話機の形が従来と代わり映えしない点も気に入らない。 かえってLモード操作用のボタンが増えた分、わかりにくく、 使いにくくなっているのは確実である。 デジタルデバイドの解消を掲げて主婦層や高齢者層を対象とするなら、 思い切った形の端末を作るべきではないだろうか。
こうなれば便利かも
まずはインタフェースの改良を望みたい。 ダイヤルボタンやジョグダイヤルでの文字入力は、 今回のターゲット層には酷な話だ。 50音配列のタッチパネルを採用したり、 手書き認識や音声認識も有効な入力手段となるだろう。 また、読みやすい大きなフォントを使う配慮も忘れないで頂きたい。
さらに望むならば、対応端末への買い替えをさせるのではなく、 現在使用中の電話機に外付けできるアダプタの販売をお願いしたい。 固定電話はそう簡単に買い替えるものではないのだから、 主婦層をターゲットとするなら、値ごろ感も軽視できない問題だ。 あるいは、”L”ivingにあるテレビにコンテンツ表示を任せてしまうという手もある。 電話機の小さな液晶画面でメールの読み書きやコンテンツを見るのは、 はっきり言って苦痛である。電話機が玄関や廊下にあればなおさらだ。 電話機のコードレス子機(またはその充電台)をテレビのビデオ入力端子に接続できるようにすればどうだろうか。 テレビのリモコンと子機を一体化し、テレビ(またはセットトップボックス)との間は赤外線でコンテンツの送受信ができれば、もっと気軽に使えるだろう。 テレビと電話機の両方を作っているメーカなら、簡単に作れそうなものだが。
すぐに次の波はやってくる
Lモード普及のカギは、端末の使い勝手の良さと役立つ豊富なコンテンツに尽きる。 インターネット接続に対する潜在的なニーズは高いのだから、 それをうまく汲み取らねばならない。ネットワーク家電の波に押し流される前に、 なんとか延命措置を講じて欲しいものである。