新しいインターネットの入り口、音声ポータル

家庭や会社にはパソコンがある。 通勤や通学など外出時には、PDAや携帯電話などのモバイル機器を持ち歩いている。 これは今や多くの人にとってごく普通のことである。 いつでもどこでもインターネットにアクセスすることが可能というわけだ。 しかし、一口にアクセスするといってもなかなか面倒なことが多いし、 欲しい情報にうまくたどり着けないことも多い。

音声ポータルサービス

電話からインターネット上の情報を取り出せるというサービスが注目されている。 携帯電話の小さいボタンを巧みに操作するわけではない。 利用者はある決まった番号に電話をかけ、自分の欲しい情報について喋ればよい。 電話の向う側では自動音声システムが対応し、検索の結果を教えてくれる。 結果はそのまま音声で返される他、メールで送ることも可能だ。 このようなサービスは音声ポータルサービスと呼ばれ、 アメリカでは既にいくつかの会社がサービスを始めている。 日本ではこの夏から試験サービスが始まるという。

ポータル(portal)は、入り口という意味を持つ。 普通ポータルサイトとは、インターネット上にアクセスした際、 最初に表示されることを目的として作られているサイトのことを指す。 yahoogoo などがその例だ。 音声ポータルは、電話を通じての音声でインターネットにアクセスするときの入り口なのである。

ユーザインタフェースとしての音声

音声でパソコンを操作するという考えは、ずっと以前からある。 そのための音声認識技術も進んでおり、実用化もされている。 音声でアプリケーションをたちあげたり、文字を入力できるソフトウェアを ご存知の方も多いだろう。

多くの人にとって、喋るということは、キーボードやマウスを操作することより格段に易しい。 しかし、キーボードやマウスに苦労している人は多いが、 その代りや補助として前述のソフトウェアを活用することはあまり定着していない。 その理由の一つは、対話性にかけているからであろう。 パソコンに向かって喋ることは、不自然な行為でなじまないし、 メールを読むために一人で「メール」などと言っているのも何だかむなしい。

音声ポータルサービスの場合は、喋る相手が電話である。 電話に向かって話すということは極めて自然(というか当然)である。 電話で問い合わせる→答えが返ってくるという対話的な流れにも 馴染みやすいだろう。 電話の向こう側が、自動音声対応システムだろうと、 オペレータだろうとそれは問題ではない。 インターネットに電話からアクセスできるというよりは、 便利なお問い合わせセンターができたという感覚かもしれない。

シンプルさと便利さの兼ね合い

電話一本でインターネットから欲しい情報を得られるのであれば、 非常に手軽で魅力的なことである。 とはいえ、何もかも電話からというわけにはいかないだろう。 しかし、万能選手になるべくあれもこれもと盛り込んでいくと、 やっぱり難しいということになり兼ねない。 このサービスがどういう位置付けになるかは分からないが、 私はインタフェースのシンプルさという点に注目している。

個人的には、「ちょっとインターネットで調べといてくれない?」 などと頼まれることが多いのだが、 「**に電話したら。」と言えば済むことになるだろうか。