機敏な業務プロセス改善を実現するBPMの相棒BRMS

近年、ビッグデータ解析基盤等の整備の進展により、各種ビジネスデータからマーケットの状況やニーズをこれまでよりも深くかつ高速に読み取ることが可能となった。そして、読み取ったビジネスルールはなるだけ早く業務システム上に反映し、新商品や新サービスとして実現することが求められる。このような経営環境のダイナミックな変化に対する俊敏な対応が求められる状況下で、限られたIT保守予算のもと、BPMと組み合わせて小回りの効いたプロセス改善を行うことのできるBRMS(Business Rule Manegement System)が注目されている。

BRMSとは

BRMSとは、企業の一連の業務プロセスの中でも特に複雑な条件や制約(ルール)を考慮した判断を要するプロセスについて、そのルール自体に着目した管理を行う仕組みである。
BPMS下にあるルールは、市場のニーズや法規制の変更に即座に対応できるようにプロセス自体とは切り離して管理(すなわち、ルールの変更と当該プロセスを実現しているアプリケーションの変更が互いに独立に行えるように管理)される。実際BRMSツールの多くは、システムを稼働したままビジネスルールに対する変更を、IT技術者でなくても行えるような仕組みを用意している。

BRMSと親和性の高いサービスとして、例えば金融・保険商品が挙げられる。クレジットカード等では、契約者の情報に基づいて審査や具体的なサービス内容の決定がなされるが、扱う情報項目数も多く、法規制上の制約を含む判断ルールは非常に煩雑である。このような商品に対し、ビッグデータ解析等をふまえ新たなサービスを加えようとする場合、もし業務ルールと業務プロセスが互いの影響関係を人手で確認しなければいけないようなプログラムの中に埋め込まれていれば、その開発を迅速に行うことは中々できない。

しかし、BRMSでは、情報項目に対する判断条件の新規追加や一部修正といった変更を自然言語のまま行い、かつその変更結果を自動生成により、プロセス上の実行プログラムとして得ることができる。そのため、詳細設計やプログラミング等の工程を省き迅速にサービスとして実現することが可能になる。

BPMとの親和性

BRMSは、BPM(Business Process Management)と親和性が高い。

BPMとは、業務をプロセス単位での組み合わせとして可視化を行うものであり、同じく可変性(この場合はプロセスの順序や組合せの変更)を行いやすいように管理を行う仕組みである。名前は似ているが、どちらかと言うとBPMの方がより抽象な視点に立っている。また、どちらも可変性が高いことが特徴だが、BRMSの方がより変更頻度が激しいものを対象としていると(多くの場合)考えてよい。先の金融・保険商品を例にすると、契約者情報は所定のコンプライアンスに従ってその開示承認や暗号化といったプロセスを経る必要があるが、これらの比較的静的なプロセスのフローの可視化や管理をするのがBPMである。

BPMとの組合せによる利点は、BRMS上で新規にサービスを実現した後、プロセス全体の最適化を検討できることである。人手で行なっていた特定のプロセス上のルールをBRMSでシステム化する場合、類似プロセスについても同様の共通ルールを適用することにより開発の効率化が行えかつ保守性も向上する。金融・保険のサービス・システムにおいては、しばしば、ごく稀な例外処理やデータ整形処理の対応が抜けていたために障害が起きてしまうケースが多いが、BPM・BRMSを用いたデータ処理条件の共通化により、このような障害への対応力は格段に向上するはずだ。実際、BRMSソフトにはBPM機能を持つものも多い(例:JBOSS BRMS)。

システム更改の手段として

以上のように、BRMSおよびBPMは、変化の激しい状況に対応する非常に強力な手段となる。2つを組み合わせることで商品のきめ細やかなサービスの設定や業務プロセス全体の最適化といった観点で、経営上の判断に逐次整合してシステムの変更を行うことができるため、次代のシステム更改の検討においても第一手として役立つことが期待できる。

日本における企業システムは、殊に、構築時には整合が取れていても長年の改修により、機能・インターフェースの肥大化によって整合性が取れなくなったり、特定技術者に依存せざるを得なくなったりして新サービスへの適応スピードは必ずしも早くないと思える。このようなシステムを更改するには、作りこみすぎてわからなくなっている部分を可視化し、現在置かれている経営環境に一歩ずつでも最適化していく事が必要だ。BPM・BRMS市場は米国等に続き大きくなりつつあるが、日本においてもシステムの適応スピードを速めていくための手段の一つとして活躍していくことを期待したい。

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