ビジネスとITを結ぶBPMという手法

ITコンサルタントとして仕事を始め、10年という節目を迎える2012年。振り返ると、色々なお客様と出会い、色々なプロジェクトに携わってきたた。手がけた仕事の多くは、システム更改や改善業務であり、「業務(ビジネスプロセス)改善」と「ビジネスとITの整合」という普遍的ともいえる課題を強く感じてきた。

今回、この2つの課題を解決する1つの手段として、ビジネスプロセスを中心にマネジメントを行う手法であるBPM(Business Process Management)の可能性について考えてみたい。

可視化出来なければ計測できない。また、計測できなければ改善できない

「業務プロセス数が膨大で要件が膨らんでいる」、「業務部門からの改修要望にこたえ続けた結果、システムが複雑化、肥大化してしまった」などの問題は、システム部門の方は多く経験しているのではないだろうか。内心、業務プロセスはもっとシンプルにできるのではと思っていても、その業務プロセスの可視性が乏しいため、すぐにはメスが入れられないという現実がある。

ここで、業務改善のお手本となる工場を、オフィスと比較してみた。

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工場とオフィスでは、勿論、業務そのものの特性(パターンや変更頻度)は異なる。しかし、最も重要なポイントは、工場においては、業務プロセスが可視化され、計測(モニタ)され、継続的に改善されているという点である。

不整合は経年と共に

要件定義に失敗するという事故を除けば、システム構築時には業務プロセスとシステムが整合が取れた状態になっている。しかし、経年と共にシステム保守開発が行われた結果、機能重複やインターフェースの肥大化により、その整合性は低下してくる。これは元々、数ヶ月という短いサイクルで変化する業務プロセスに対し、数年単位のサイクルであるシステムを整合させるという難易度の高い問題である。

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BPMという手法の可能性

業務改善や、ビジネスとITの整合性という課題は、決して新しいものではなく、以前から存在していた。これまでには、既存の非効率な業務プロセスを一から設計しなおし、最適な業務プロセスを再構築するといBPR(Business Process Re-engineering)という手法もある。しかし、継続性という観点に乏しいという欠点があった。

基幹業務プロセスはほとんど変化しないと言う反論もあるかもしれないが、保守開発における変更履歴を確認すれば、変化の度合いが確認できる。また、多くの企業においてグローバル化の競争に晒されている中、Faster、Better、Cheaperを実現するために変化を強いられるという時代である。

BPMは、業務プロセスを可視化を起点に、システム連携し、計測し改善サイクルを回すという継続性を持った手法であり、今まで述べてきた課題の解決に役立つものであると考えている。また、海外でのBPM導入事例は多く存在しており、今後日本国内で普及が進む可能性が高いと見ている。

BPMSベンダー動向

BPMを支援する仕組みに、BPMS(Business Process Management System)がある。詳細は割愛するが、主要な機能は4つある。業務プロセスを記述するモデリング機能、SOAに基づいたシステム実装/連携機能、業務遂行をサポートするワークフロー機能、そして業務プロセスのパフォーマンスを計測するモニタリング機能である。

これらBPMSを扱うOracleやIBMなどのビッグベンダーは、不足している機能を企業買収によって補強する動きも見せており、今後の製品動向に加え、企業買収動向にも注目していきたい。