震災後の情報とソフトウェアの還流

3.11東北地方太平洋沖地震の被災地の方々のために、アーティストでもなくアスリートでもない個人でできることは限られているかもしれない。しかし、被災地や災害そのものについて思考を止めないことは必要なはずと信じ、救援や復興が進む中で、震災に関する情報共有について、海外との関係を踏まえて方向性を考えたい。

海外の優しさと厳しさ

今回の震災で、海外から物心の支援はあっても、市場や人の動きは現実的であり、今後の不透明感が募る。『不見識である』、と経財相が言っても為替市場では大きな変動があり、WTO交渉委で日本産農産物の禁輸に懸念表明をしても当然のように海外では禁輸措置が取られている。著者の周辺でも今まで数年間で一度も帰国していないような人が帰国したり、前々から計画していた訪日を断念したりしている。

しかし、それでもただでは起き上がらないという期待と希望を、震災の情報共有の姿から抱いている。

hack4jpの取り組み

Hack For Japan(#hack4jp)という取り組みがある。 これは、GoogleのCrisis Response pagesinsai.infoAll311などには参加していないが、熱い思いのある開発者が参加する取り組みである。Hack
For
Japanは、サービス開発者のための情報交換やリソースを提供してくれる場であり、Web寄りのサービスでおなじみの企業が協賛し、多くの賛同者が名を連ねている。そこで議論されている『被災者のためにできること』は非常に示唆に富んでいる。議論の中身は、『データセンターを東北地方に作って雇用対策にする』というような復興時の支援の話から、

  • ガラケーを活用した情報共有のありかた
  • Webで共有した情報を被災地に紙で伝える方法
  • 支援物資の需給管理
  • 被災者情報のデータ統合
  • 被災者の要望・希望の入手
  • 情報の信頼性判断(デマを抑制)

などについて、アイディアを出し合い、さらにはサービスとして実装を進めている。

hack4jpの中で、

[アイディア] 今回のHack For
Japanの試みの英語版を。海外からもアイディア・開発者募集。その前に、日本の現状を知ってもらう英語サイトを。

という記述もあるが、今回の国内でのsinsai.infoなどの災害情報ポータルなどの活用と併せて、世界に伝えなくてはならないことだろう。
震災の前の公示だが、世界銀行のコンテストにもあるように、それが今後求められる。

情報とソフトウェアの還流 – hack4world

sinsai.infoで使われているソフトウェアは、Ushahidiであり、これは2007年に起きたケニアでの政府による暴力と暴動を監視する目的で作られた、位置情報とともにデータを投稿する仕組みである。戦闘中のガザ地区、ハイチの大地震の際も、現地でのニーズなどを地図上にマッピングして救護に役立てていた。そして、今回は日本の震災で役に立っている。Ushahidi自体は、サーバへの設置の負担を軽減するために、2010年8月にCrowdmapというWebで簡単に利用できるサービスへと進化を続けている。

Ushahidi以外にも、外国人を中心とした被災者に住居提供の情報を共有するサイトSparkReliefや、海外ではユーザの多いスマートフォンアプリ、Life360などは日本語化を経ずにそのまま活用されている。もちろん、日本で作られている上述のサイトなどにも日本語以外の言語による情報は登録されている。しかし、海外の利用者数が多い救援用途のサービスは、重要な情報の共有のために把握しておき、情報を流せるようにする必要があるのだろう。これは、日本の訪問者への安心感を回復していく上で重要と考えられる。

震災後の情報共有について、時々刻々と変わる被災地のニーズを把握することが第一である。加えて、いずれは日本の知恵をUshahidiなどに付加価値として付けて返すことも、物心両面で支援をしてくれた各国への重要な返礼になるだろう。