クラウド時代のOSとは

話題の新OS

Microsoftから先日3年弱ぶりに発売を開始したWindows
7
は事前予約販売も含めると幸先のいいスタートを切ったようだ。多くのベンダーが堰を切ったように新製品を発表している。他のメディアが盛んにこのOSを取り上げているのでここでは詳細には触れないが、ベータ版を半年程度使った個人的印象では、Vistaによって悪化したユーザビリティがUIの洗練で挽回され、全体的には使いやすくなっていると思う。

新しいOSの登場の際に次のOSについて語るのも気が引けるが、ここはあえて注文をつけさせてもらおう。多くの期待と注目を集めているWindows
7ではあるが、OSの基本的な部分はあまり以前と代わり映えしない。OSのインストール自体はこれまでのどのPC
OSよりも手軽で簡単になったものの、ちゃんと使える環境にするには必要なソフトを個別にインストールし、細々とした設定を行っていくしかない。

新しいOS環境を立ち上げる毎にクラウド系のアプリ(SaaS)に魅力を感じてしまう。個人メールはWebメールに統合したし、パーソナルなOffice文書はそれほど凝った機能は必要ないのでGoogle Documentsに任せることにしている。RSSリーダーもGoogleリーダーに移行してしまった。アイディアをメモしておくのにブログを使うようになって、ますますネットワーク上にリソースが移行しつつある。

Microsoftも指をくわえてただこのクラウド化現象を見過ごしているわけではない。MSNの後釜との印象が強く、インパクトの少ないWindows Liveだが、Windows
7にはメール、メッセンジャー機能が搭載されておらず、このWindows
Liveからダウンロードする仕組みになっている。OSをスリム化してより動作を軽くさせることが主目的であろうが、OSとクラウドサービスとの融合を図っていく試み、としても理解できる。

クラウドのクラッシュ

そんな中、クラウドサービスがクラッシュしてユーザデータのほとんどが回復不可能とのニュースが世界を駆け巡った。米国のケータイアプリであるSidekickが保有していたユーザデータがバックアップもろとも消失してしまったとのことである。ショッキングな第一報であったが、現在ではデータ復旧が進んでいるとのことである。しかし、誰もが心配していたことが起こってしまったことのショックは大きい。サービス、情報資源を第三者(クラウドサービスプロバイダ)に丸投げすることへの警鐘であった。

ユーザデータの消失は以前にも当コラムで「データは誰のもの?」で取り上げているし、過去に何回か起こっている。情報漏えいも含めると日常茶飯事と言えなくも無い。

しかし、上記の事件は流行のクラウドサービスへのインパクトが大きく、ショッキングではあったが、クラウド化の流れを変えさせるほどのものではない。しかし、何らかの対策が必要であることを再認識させてくれた。クラウドサービスの脆弱性を克服するにはどうしたらいいのだろうか。

クラウド系OS

ここで話をWindows
7に戻したい。クラウドの脆弱性をカバーできるのは手元にあるクライアントOSが最有力候補である。すでに完成されたOSであるWindows
7では対応が難しいにしても、今後出るであろうService
Packなどでクラウドサービス・リソースの効果的なバックアップができないだろうか。ユーザにはバックアップを取っていることを意識させない、大掛かりなキャッシュのようなものがいいだろう。

Googleではオフラインでもメールを利用できるGmailオフライン機能を提供している。ネットワーク上にあるメールをPCにダウンロードする機能である。また、GoogleはGears
API
を公開してWebアプリのローカルキャッシュ機能を提供している。ブログプラットフォームであるWordpressはこれに対応しており、ブログ表示の高速化を達成している。

もう一つはずせない機能が設定の同期機能である。FirefoxにはXmarksというアドオンがあり、オンライン上にブックマークを保存しておき、ブックマークの複製・同期を行ってくれる便利なアドオンがある。GoogleもChromeに対して同様な機能を盛り込むとしている。OSにも基本的な設定を同期してくれる機能があったらとても重宝するだろう。Windows
Liveに自分のPCの設定を保存でき、他のPCと同期が取れるとしたらもっと利用するようになるかもしれない。複数PCを所有するユーザはもちろんのこと、企業に導入される大量のクライアントの設定をコントロールすることが可能となる。

クラウド時代のOSに必要となる新たな機能はこのようなものではないだろうか。クラウドとローカルのリソースを効率的・効果的に使い分け、性能と信頼性を双方とも向上させるのである。Google
OSが達成するか、それともWindowsが先に到達するか。元々ネットワークに強いLinuxによる大反撃も考えられる。久しぶりにOS周りが面白くなってきそうである。

本文中のリンク・関連リンク: