データは誰のもの?

メールが消失しても保証は無し

ヤフーは4月6日、「Yahoo!メール」ユーザのメール約449万通を消失したと発表した。迷惑メールに関するプログラムのバグにより、迷惑メールではないメールの本文を誤って削除してしまったのである。また、約515万通についても本文とメールの件名のリンクが切られるという現象が発生した。
消失したメールは1ヶ月以上前のメールであり、さほど大きな被害を与えなかったのは不幸中の幸いである。

だが、もし新着メールが消失していたらユーザは大混乱に陥っていたに違いない。個人ではヤフーやGoogle等のフリーメールサービスに頼っている人々も多い。また、零細企業あるいは個人事業者にもフリーメールを活用していることがある。障害の種類やタイミングによっては、約束をすっぽかしたり、注文に対応できなかったりして大きな金銭的・精神的な被害が発生した可能性が高い。

しかし、どんなに被害が大きかろうがサービス提供者は何の補償もしてくれない。フリーメールに限らず、ほとんどすべての無料ウェブサービスでは、サービス利用規約で「無保証」がうたわれているからだ。一方、ユーザの大多数は、利用規約には目もくれず「同意する」ボタンを押してしまうのが実情である。

サービス終了の可能性もある

システム障害以外にも、サービス提供者の都合によってサービスが終了してしまうこともある。たとえば、同じくフリーメールサービスのひとつであるfreemailは今年1月31日をもってサービスが終了したし、ブログサービスmelma!blogも2005年11月30日で終了した。
これらのサービスのビジネスは広告収入から成り立っており、その収入が十分に確保できないのであればサービスを終了するのはやむを得ない判断である。しかし、終了のさせ方にはユーザに対する思いやりがほしい。

たとえばブログサービスの場合、毎日コツコツと書いてきた日記はどうなるのか。他のブログサービスに移行させることはできるのだろうか。フリーメールの場合、たとえばGMailが終了したらどうなるか。メールボックスに溜まった1GBものメールはどうなるのだろうか。個人の財産ともいえるデータが、サービス提供者の都合によって無くなってしまうのはあまりにも惜しい。


メールの場合はメールサービスがPOPに対応していれば簡単にバックアップできる。1GBをバックアップするのは大変だが・・・。

バックアップも簡単ではない

上記のようなリスクがあるとはいえ、無料のウェブサービスは便利な最新技術がいち早く取り込まれ、利用をやめることはできないだろう。私たちユーザとしては自衛策を取ることしかできないが、サービス提供者にもお願いしたいこともある。
簡単な自衛策としては、

  • 信頼できるサービス提供者のサービスを利用する(大手のヤフーでもトラブルが起きてしまったが・・・)。
  • オンラインストレージのようなサービスを使うときには、流出しても大丈夫なようにデータを暗号化して保存する。
  • データの消失に備え、データは自分のPCにも保存するように心がける。

といったことが挙げられる。

最初の2項目はユーザ次第でできることだが、最後のバックアップはユーザだけでは難しい。オンラインストレージやオンラインアルバムに保存した大量のデータをひとつずつダウンロードしていたのでは大変である。ブログやWikiはひとつひとつのファイルではなくデータベースに保存されていることもあるのでもっと大変だ。
幸い同様の心配をしている人は世界中にいるようで、画像共有サイトのFlickrに対してはFlickr
Backup
というソフトウェアが有志によって提供されている。

サービスはサービス提供者の所有であったとしても、そこに蓄えられているデータはひとりひとりのユーザの所有物である。
バックアップが容易になると他社のサービスに乗り換えてしまう可能性があるが、そのサービスが永続的に続き、障害を起こさないという保証は誰にもできないはずである。だからこそサービス提供者はデータの価値を認め、Flickr
Backupと同様のソフトウェアを提供してデータのバックアップや移行に関してユーザに自由度を与えてほしいと願う。

ウェブ上にはメール、ブログ、Wiki、オフィス文書等々、さまざまなデータが溢れている。ヤフーの障害を対岸の火事と思わず、サービス提供者も利用者もデータの管理方法をもう一度見つめ直したい。