自由研究にロボットはいかが

先日、大学対抗のロボットコンテスト模様が放送されているのを見た。 1991年から始まって以来既に16回目だ。
こうしたロボットコンテストは複数あり、研究者だけではなく、 一般の人の参加も増えている。 ロボットが産業的にも重要と言われながら、
産業用ロボット以外になかなか市場が広がらない現状を考えて、 まずは、ロボットを研究題材として、
実際にロボットに触れられる層を広げてみてはどうだろうか。

ロボットコンテストの増加

ロボットコンテストの歴史は、 迷路型フィールドを自走してゴールまで行く マイクロマウス競技が草分けだ。 25年前から行われており、
ゲームの好きな人なら、バンダイナムコ社(当時ナムコ社)の マッピーを覚えている人もいるかもしれない。 機械的な完成度だけでなく、迷路の解き方も重要な要素だ。
大学や高等専門学校(高専)が対象のROBO-CONは、毎年ゲームの種類もルールが変わるので、
ロボットの性能だけではなく、ゲームの戦略を考慮する必要がある。 最近では遠隔操作するロボットから自動ロボットによるゲームになっており、
ゲームの戦略を考えると移動の高速化が鍵となっているようだ。 アジア各国代表による競技も行なわれるようになり、これまで日本の技術力を
示している。

より本格的なものとしては、
2050年にヒューマノイド型ロボットがワールドカップ優勝チームとサッカーで勝てることを目標としたRobo Cupがある。
これには世界中の研究機関が参加しており、ロボットの種類別に競技が実施されている。
ここでも大阪大学を中心とした産学協同のグループが2004年から 3連覇しており、 小型ロボットにおける技術力の高さを誇っている。 同時に救助用ロボットを対象としたRoboCup
Rescueという競技も行われている。

アメリカではより実用的な研究が行なわれている。 DARPAがスポンサーになり、軍事利用を想定した自動運転車のコンテスト
Grand Challengeが行われている。 2004年の1回目には完走した車両がいなかったにもかかわらず、
2回目の2005年秋には、障害物の少ない砂漠地域とはいえ、
132マイルを時速20マイル以上で走破した自動走行車が複数出ているのは驚異的だ。
次回の2007年は都市部を想定した地域が対象になっている。 優勝賞金も200万ドルと桁違いだ。

ロボットエンドユーザの増加

一方では、こうした研究者向けのコンテストだけではなく、 一般ユーザ向けのコンテストも行なわれている。
ロボット同士の格闘技を実現しているのが、Robo Oneだ。 以前、バラエティ番組の一部でも同様の競技が行なわれていたので、
見たことがある人も多いだろう。 ロボットの組み立てキットがいくつか販売されており、 制御プログラムを変更したり、モータを交換することが可能だ。
このあたりは、ラジコンの自動車に近いものがある。 コスト的にも本格的なラジコンの自動車や飛行機と同程度からやや高い程度だ。
これらは遠隔操作型のロボットであり、各モータの操作が肝のようだ。

また、世界で15万台以上販売されたAIBOも自分でプログラム可能なロボットのキットとも言える。
実際、RoboCupの4足リーグでも多数使われている。 LEGOマインドストームは、 価格的にもお手軽なので試しやすいだろう。

ロボット開発の行方

さて、こうしたコンテストの広がりは、一般ユーザを増やすことになるのだろうか。
日本国内ではロボットアニメの影響が強いせいか、2足歩行ロボット、 いわゆるヒューマノイド型ロボットが人気だ。 しかしながら、
現在存在するようなヒューマノイド型のロボットが家庭用として普及するのは難しい。
ビジネス的にはエンターテイメントロボットとして、期待されているものの、
今のところ、10万円のロボットのキットがこれまでに5000体売れている程度で、 他のロボットを合計しても年間数億円の市場規模であり、
マニア向けの製品の域を出ていないのが実情だろう。 AIBOの撤退も仕方ないところだ。 もちろん、圧倒的に低価格になれば、家庭用ゲーム機同様に普及する可能性もある。
国内の家庭用ゲーム機市場がハードウェア約2000億円、 合計約6000億市場であることを考えると、
例えば1万円のロボットが毎年100万台売れるような 100億円市場の実現は現状ではかなり厳しいと予想される。

コンテストを通じて、目標が共有されて開発されることが大きな進展となることも多い。
ロボットエンジニアを増やすための実践的な教育プログラムでもある。 一方では、ロボットが2足歩行である必要はないという指摘もある。
ロボットは、センサ、機構、制御から映像認識といった さまざまな技術の集合体であるので、 あまりロボットの物理的な形状にこだわらずに、
要素技術を含めて研究開発が進む方が望ましい。 また、国際競争力を有する産業と位置付けているのであれば、 国の支援もDARPA並の競争と強力な支援があってもいい。

このようにロボットのキットが販売されている状況はPCの黎明期に近い。
仕様を標準化しオープンにしたことで、汎用的なPCが普及したことを考えると、 ロボットでも標準的なプラットフォームを普及させることが
技術的にもビジネス的に大きな鍵になりそうだ。 日本のロボットベンチャの技術が普及するよう頑張って欲しい。