みなさんは毎日どのくらいディスプレイ(*)を眺めているだろうか。 会社で席にいる間はずっとというだけでなく、 最近はそれに会議中や移動中なども加わり、ほぼ一日中という方もいるだろう。 今回は、次世代表示媒体とも言われる電子ペーパーの魅力について考えて見た。
*本文章中の “ディスプレイ” という言葉は、パソコンなどの出力装置としてのディスプレイを指している。
電子ペーパーとは
電子ペーパーは、ごく簡単に言うと、紙のようなディスプレイである。 eペーパー、ペーパーディスプレイといった呼ばれ方をすることもあるようだ。 超薄型・軽量で、従来のディスプレイに比べて読みやすく、表示内容を換えられるといった大きな特徴を持っている。 「紙とディスプレイの長所を併せ持つ次世代表示媒体」などと紹介されている。
普段、ディスプレイ上では文章を読みづらく、紙に印刷することが多い、 かといって文書が大量になってくると、 紙ではかさばるし資源のムダも気になってしまう。 こんなことを解決する可能性があるものといったら、少しはイメージが湧くだろうか。 残念ながら、そのような状況を解決するものはまだ商品化されていないが、 電子ペーパーの技術は、書き換え可能なポイントカードや店頭の値札、 さらには 電子書籍リーダー のディスプレイとして実用化されている。
読みやすいだけでなく
電子ペーパーの用途は様々あげられているが、 技術者側からの発想だからなのか、紙のように読めることに偏りすぎているからなのか、 利用者としては今一つインパクトに欠ける。 電子ペーパーといっても電子書籍リーダーの表示部分になってしまうと、 PDAなどの機器と変わりない気がしてしまう。 駅などのポスターが瞬時に一括書き換え可能になり、 その時間の乗降客にあった内容の広告を提示できるとなっても、 提供側にとっては素晴らしいかもしれないが、 見る側としては最初だけ「すごい」という驚きがあるくらいではないだろうか。読みやすいと同時に、読みたい情報を簡単に入力できることも重要である。 手軽に情報を入力できなければ、媒体がどんなによくても意味がない。 紙に印刷する理由は、ディスプレイだと読みづらく紙だと読みやすいからに加えて、 印刷が手軽で簡単だからだ。 電子ペーパーへの入力で注目したいのが、「 光書き込み型電子ペーパー 」である。 この方式では、電子ペーパーをディスプレイなどにかざすことで情報が写し取れる。 大量な文章には向かないかもしれないが、 意外とよくやる目的地までの地図の印刷や、 告知や募集などのメモをとることに取って代わるには充分だ。 インターネットからダウンロードやUSBで繋いでというのも悪くはないが、 手軽でさらに次世代という感じ(?)もして、画期的だ。
でも、さらにペーパーライクにも期待
次世代などといいつつ、もう一度「紙のような」にもどってみると、 自由な位置に書き込みができることも紙のいいところだと思う。 読みやすいがクリアされたら、次はメモのインタフェースもあるとうれしい。 客観的な比較をしたわけではないが、 筆者はディスプレイで読むことがそれほど苦ではないほうだと思う。 しかし、自分で書いたものを読み直してチェックするなどというときは、 ワープロソフト上ではどうもだめで、 紙に印刷したものに赤で修正したりしないとやった気になれないので。 そうでなくても、読んで気になった部分に線を引きたいという人はいるのではないだろうか。それともう一つ、やはり折畳めたり丸めることのできるものがいい。 だって電子ペーパーというからには。。 そんなに都合のよい物が簡単にできるわけないと言われてしまいそうだが、 電子ペーパーの今後に期待したい。
ちなみに、筆者が電子ペーパーのことをなんとなく聞き知ったのは数年前で、 そのときは何度も書き換え可能な特殊な紙(とインク)ができたのかと思っていた。。 という勘違いをする人はそういないのかもしれないが、この名称、 決してペーパーではないのになどと思ってしまう。 「紙のような」というところに期待がこもっているから?というのは考えすぎだろうか。
本文中のリンク・関連リンク:
- 電子ペーパー、電子インクとは(ナノエレクトロニクス)
- 研究開発活動 ペーパーディスプレイ(Canon)
- 次世代マーケット 電子ペーパー(TOPPAN)
- 表示技術 電子ペーパー(FUJI XEROX)
- E Ink社
- Take IT Easy(2004.06.15)の記事 電子書籍市場の育成を望む!