ナレッジマネジメント成功の秘訣はツールとモチベーション

ナレッジマネジメント(KM)は、企業内の知識を形式化し蓄積し、 組織の知識として活用しようという方法論である。
KMはいうまでもなく、何を知識として蓄積し、 どのように活用するかが最も重要である。
その意味では、KMを実現するのに必ずしもITシステムが必要ではないのだが、 一般的にはITシステムを導入するのも有効な一手段である。
ここではKMシステムを実現するツールと、その運用という2面からKMについて考える。

KM実現のための機能とツール

KMにより何を知識として活用したいのかで、KM構築に要求される機能は異なってくる。
例えば、企画力の向上なのか、組織のコミュニケーションの活性化なのか、 営業情報の共有なのかなど。
しかしこれらを集約すると一般的に、KMシステム(KMS)に必要な機能としては、 掲示板によるフォーラム、テーマごとの文書ライブラリ、
それを管理する仕組み(アクセス権に基づく更新/参照、承認フローの設定)、
登録された文書の全文/属性/概念検索、などがあげられる。

KMS構築のためのパッケージとしては、 TeamWareOffice(富士通)
GroupMax(日立)
などのグループウェアツール、 Share Point Portal
Server(Microsoft)
などのEIP(企業情報ポータル)構築ツール、 Documentum(日本ドキュメンタム)
などの文書管理系ツールがある。 KMの種目的が知識の流通、コミュニケーションの活性化なのだから
グループウェア系のツールが、先の必要機能の多くを満たすという傾向にある。

しかし、各ツールの機能を細かくみていくと、1ツールで全ての機能を備えるものは少ない。
これは、KMツールがグループウェアの延長ではあるが、初期のグループウェアとは 明らかに異なる要求があるからだ。
例えば、企業のKMSとしても採用されている OKWeb にあるような
Q&A形式のコンテンツのインタフェース(公開質問と解決済み質問、回答に対する評価)
を備えるグループウェア系ツールはみあたらない。
一方、Q&Aをサポートするようなツールは、文書管理系の機能が弱いといった不完全さがある。 近年、 KnowledgeSmart(富士通)
KnowledgeMeister(東芝)
といったKM構築を主目的にした ツールが出てきている。これらもまだ完璧とはいえないが、
KM構築を主眼とする新しい流れが出てきたことは歓迎すべきである。

KMSの運用が重要

冒頭でも触れたように、KMSは、構築より活用が重要である。 KMの対象は必ずしも企業情報とは限らない。
インターネット上では、さまざまQ&Aサイトや知識共有を目的とした掲示板があり これらもKMといえよう。
情報共有が成功しているサイトでは、 情報感度が高くボランティア精神に富む管理者やメンバーが、
サイトの維持管理、場の形成に積極的に関わっている。 パソコン通信時代からの NIFTYのフォーラム
のシスオペはその草分けである。 彼らは、意見をまとめたり、新たな話題を提供したりといったことを 労を惜しまずやっているのである。
この「場」や「雰囲気」を維持しつづけるには それなりの努力が必要である。 特にMLやフォーラムでは、管理者の役割が重要で、
これを怠っているサイトはいずれ衰退する。

知識を登録し、流通させるモチベーションとは何だろうか? 「与える喜び」「コミュニケーションの楽しさ」「他者からの尊敬」
といったものかもしれない。いずれも、他から強制されたものでなく 自発的なものであることが長続きの秘訣であろう。

企業におけるKMSの活用においても、KnowHow系のコンテンツは 同様のモチベーションによるところが大きいが、
ライブラリなど過去の特定の知識を参照したいといった場合は、 もう少し形式的かつ自動的に蓄積できる仕組みが必要となる。
これには、ワークフローに組み込み、報告書等の承認プロセスの中で
後にも参照できる形で知識が蓄積されていく仕組みを実現することが考えられる。