以前に比べると、最近のPCはとてもうるさく感じるようになった。 ワンルームに住む身としては、別の部屋に置いておくわけにもいかないので、 切実な問題である。寝ている間に時間のかかる処理をさせようと思っても、 眠れなくなるほどである。
ここのところの省スペースPCや小型PCのブームで、やや持ち直してはいるものの、 それでもPC内部では多数のファンがうなりを上げている。 電源、CPUに始まり、ケースやビデオカードにまでファンが付いているのだから、 仕方がない。社内にあるフルタワーPC(Dual Xeon 1GHz)では、 なんと合計8個(CPU x 2、ケース x 5、ビデオカード x 1)ものファンが動いていた。 これでは小さな掃除機並みのノイズ源と言っても過言ではないだろう。
ノイズを撃退するためには
このようなノイズを撃退するためには、どうしたら良いだろうか? 最も簡単な対処法は、より静かなパーツを利用する方法である。
木の葉の触れ合う音とされる20dBをしのぐ 超静音ファン、 ファンの回転数を自動制御する電源、 HDDの動作音を軽減するHDDケース、 共鳴振動を抑える防音・制振シートやインシュレータを用いたPCケース、 など、今やお金をかければさまざまな静音化パーツが手に入るようになっている。
また、自己責任の下での改造が前提にはなるが、 ひと回り大きいサイズのファンと交換し、それを低速で回転させる、 あるいは、 ファンの回転数を制御するコントローラを利用する、という手もある。 排熱問題はあるが、思い切って余計なファンを止めてしまうというのは最終手段だろうか。
それならば、ノートPCを使えばいいと思われるかもしれない。 ノートPCならば、ファンが使われていない製品も選択できる。 しかし、デスクトップPCに比べると、より身近で使うために、 今度はHDDの動作音が耳についてしまう。
ノイズ源を分離して遠ざけてしまう
以前、Oracle社の提唱するNetwork Computerという、HDDを持たないPCが話題になった。 その当時は、ASP機能や管理コスト削減を謳い文句にしていたわけだが、 よく考えればノイズ源を遠ざけられるというメリットもある。 これを家の環境に当てはめて考えてみよう。
ノートPCにはHDDを持たせず、演算・入力・表示・通信(無線LAN機能)のみを担当させる。 こうすれば、バッテリによる連続稼動にも好都合であり、また本体も薄く軽くできる。 もちろん、普段使っているOSやアプリケーションが、HDDレスでも使えることが前提である。 一方、HDDは外部記憶装置として、防音加工されたファイルサーバがこれを担当する。 将来的にはホームサーバがこの役割を果たすだろうが、現在ではADSLルータ+無線LANステーション+HDDが一体化した高機能ネットワーク対応HDD(付加価値NAS:Network Attached Storage)があれば十分だろう。
このような組み合わせが実現できれば、別の部屋にファイルサーバ、リビングにノートPCのような端末(=リビング端末)を置き、静かで快適な利用空間を手に入れられるのではないだろうか?静かなリビング端末を
先日HDDビデオレコーダを購入したところ、本体背面に小さなファンが付いていた。 家電製品としては珍しいのだが、今後このようなファン付きの製品も増えてくるに違いない。 消費電力や熱対策ももちろん重要だが、これからは静かさを売りにした製品も積極的に考えてほしいものである。
いつか、このようなリビング端末で、プルーストの「失われた時を求めて」が読めるくらいの静かさになればいいのだが。
本文中のリンク・関連リンク:
- 騒音レベルと身近な音との比較
- 静音PCを構成するパーツ:
- ドライブ静音化ツール:
- Oracle社の提唱するNetwork Computer
- 常時接続の影の出費 − 電気代 (Take IT Easy 2001/08/21)
- 環境問題? 夏のパソコン (Take IT Easy 2001/07/17)
- 静粛性を売りにしたPC
- 28dBの静音性を売りにする「Compaq Evo Desktop D500 US」
- 約30dBで図書館並の静かさ「日立 FLORA330 サイレントモデル」
- 図書館(40dB程度)やささやき声(30dB程度)よりも静かなサイレントパソコン「NEC Lavie Z」
- ファンレスC3オンボード搭載マザー採用の自作PCキット
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