環境問題? 夏のパソコン

4月に家電リサイクル法が施行されたのはご存知だろう。 それと同時に資源有効利用促進法の改正により、 事業所の使用済みパソコンの回収・再資源化も義務付けられた。 来年度中には一般家庭にも適用される見通しで、 既に各メーカーは、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を基本とした仕組みに取り組んでいる。 リサイクル問題にもいろいろ考えるところはあるが、もっと気になることがある。

熱い、暑い

今年は特に毎日暑い日が続いている。 外は暑いしオフィスの中は冷房で寒いので、体調を崩すというのは女性に多い悩みのようだ。 しかし私にとっては、外は信じられないくらい暑く、中は結構暑い。 オフィスでは一人一台のパソコン環境は当たり前。 私の周りでは、仕事がら複数台使っている人も珍しくない。 休みなく稼動するサーバもある。 そう、暑いのはパソコンのせいなのだ。

パソコンが発熱するのは、特別な理由からではなく電気製品だからだ。 ただ、多数同時に、長時間、時には24時間使われるところは、今までの電気製品とは違う。 パソコンの発熱に関する議論のほとんどは、いかに放熱するかが焦点のようだ。 デスクトップ型であれば、パソコン自体が熱さでだめにならないように。 ノート型であれば、それに加えてキーを打つ際に手が熱くならないように。 後付けの放熱用ファンやノート型用放熱台なども売られている。 特にノート型では、実際熱くて使っていられなくなるものもあるくらいなので、 放熱した熱がその後どうなるかまで議論が及ばない。 放熱した熱は消滅するわけではない。 広い部屋にパソコン数台なら問題ないが、 何台も使っていれば部屋自体が温まってしまう。 ちょうど部屋の中をクーラーで冷やして、室外に熱い空気を排出しているのと同じだ。

つきつめるところ省電力なのだが

パソコンの熱源は、ディスプレイ、CPU、ハードディスク、グラフィックカードなどが考えられるが、 その中でもCPUの影響は大きい。 消費電力が高ければ高いほど熱くなるので、 省電力のCPUを搭載したパソコンを選べばよいということになる。 省電力CPUの一つに、昨年発表されたトランスメタ社のクルーソーがある。 Pentiumの対抗馬としての話題の方が大きかったようにも思えたが、 消費電力の小ささは確かである。 トランスメタ社のホームページによれば 例えばDVDソフト再生でクルーソーの温度は48度になるが、 従来のモバイルプロセッサの半分ほどであるという。 その後、PentiumやAMDも省電力仕様のCPUを発表している。 つまり、(今までよりは)熱くならないパソコンは世の中に増えているのだ。

パソコンでもう一つ気になるのが、騒音である。 オフィスにいるとそれほどでもないのだが、 家ではうるさく感じる。 音の主な原因は、電源ファンやCPUファンの回転する音だ。 なぜファンが必要かというと、パソコン内部の熱を放熱するため。 なぜ放熱が必要かというと、パソコンが発熱するためである。 つまり、騒音問題と発熱問題には密接な関係がある。 省電力パソコンは、発熱が少なくおまけに静音設計が可能と一石二鳥なのだ。

「実は省電力」くらいがいい

しかし、“省電力”を前面に押し出されても特に何も感じないというのが正直なところである。 私達は、省電力や省エネという言葉に悪い意味で慣れてしまっているからだ。 誰もが「大事なことだ」と頭では分かっている。 しかし、実感として必要に迫られているわけではない。 実践しなかったところでお金をとられるわけでもない。

環境を守るために、省電力をではなく、 熱くならず静かで快適。 おまけに実は省電力なので環境にも優しいという切り口があってもよさそうなのだが。 今の私にとってはそちらのほうが遥かに魅力的である。 夏の新モデル「熱く(暑く?)ないパソコン」があったら。 あ、むやみな買い替えでごみを増やしてもいけないのか。