エープリルフールがインターネットを救う

「鳥類キャリアによる IP データグラムの伝送規格」
「洗濯バサミ DHCP による IP ナンバーの管理」

鳥類?洗濯バサミ?一見まじめな論文のようだがちょっとおかしい。これらはすべてエープリルフールに発行された RFC だ。

RFC(Request for Comments)にはインターネット技術の仕様などが書かれている。そのほとんどがまじめな内容のもので、例えば電子メールやWWWのプロトコルも RFC の一つだ。しかし、エープリルフールには冒頭のような一風変わったドキュメントが発行される。私はそのパロディ精神が好きで毎年楽しみにしている。

最近はインターネットというとサイバーテロだ、ウィルスだと物騒な話が多い。巧妙な不正アクセス手法が次々に発明されて、守る側は息をつく暇もない。そうしたなか、毎年エープリルフール RFC が発行されるたびになぜかホッとする。インターネットを支える人々の余裕が感じられ、以前のコラム同様「インターネットは大丈夫だ」と再認識して、思わずほほえんでしまう。

  • 今年は RFC 2795 “The Infinite Monkey Protocol Suite (IMPS)” (無数猿プロトコル・スイート?)が発行されるようだ。
    無数の猿とタイプライターをサポートするプロトコルを定めていて、その猿が偶然にもシェークスピアの作品を書いたのか、あるいはテレビ番組を生み出したのかが判断できるそうだ。
  • エープリルフールRFC 一覧(英語)
  • 日本語に翻訳されたもの。
    • RFC 748 「 telnet ランダム喪失オプション」
    • RFC 1097 「TELNETサブリミナルメッセージオプション」
    • RFC 1149 「鳥類キャリアによる IP データグラムの伝送規格」
    • RFC 1438 「退屈な IETF 報告書」
    • RFC 1605 「SONETのソネット(14行詩)への変換」
    • RFC 1606 「IPバージョン9の利用の歴史的概観」
    • RFC 1924 「IPv6アドレスの簡潔な表現」
    • RFC 1925 「12のネットワーク真理」
    • RFC 1926 「ATM 上での IP データグラムの実験的カプセル化」
    • RFC 1927 「関連文書のための MIME タイプ追加の提案」
    • RFC 2100 「ホストのネーミング」
    • RFC 2321 「RITA — 信頼性のあるネットワーク相互接続問題解決エージェント」
    • RFC 2322 「洗濯バサミ DHCP による IP アドレスの管理手法」
    • RFC 2324 「ハイパーテキスト・コーヒーポット制御プロトコル」
      クライアントプログラム (coffee.el) を作った人もいるようです。
    • RFC 2325 「SMIv2を用いたドリップ式加熱飲料ハードウェア装置のための管理用オブジェクトの定義」
    • RFC 2549 「鳥キャリアによるIPのサービス品質(QoS)」
    • RFC 2550 「10000年問題と更にその先を越えて」
  • エープリルフール以外のパロディー RFC
  • RFC は IETF(The Internet Engineering Task Force) という組織が発行しています。