インターネットとY2K

とうとう問題の2000年まで残り100日を切った。各産業界でそれぞれ必死に 2000
年問題対策を講じていることだろう。今回は、我々が今や手放すことのできないインターネットの 2000 年問題について考えてみる。

サーバ、クライアントだけじゃなくてプロトコルも大切

2000年問題対応というと、サーバやクライアントなどのコンピュータ機器への対策がすぐに思いつく。しかし、それらの機器間の通信に使われるプロトコルも大切だ。プロトコルに問題があっては、2000年問題対応のハードウェア・ソフトウェアなどは作れないからだ。巷で言われている
2000年問題の多くは、ハードウェア・ソフトウェアの実装の問題がほとんどだが、プロトコルに問題がないわけではない。

インターネットサーバの2000年問題

インターネットサーバを2000年問題対応にするためには、ハードウェア、OS、
サーバソフトウェアのそれぞれについて対応の可否を確認する必要がある。筆者は Sun
のサーバをインターネットサーバとして使っている。ハードウェア、OS については、日本サンのホームページに情報が掲載されているため、ここから必要な修正プログラムを持ってくればよい。現在のサーバ環境に必要な修正プログラムをリストアップしてくれるスクリプトも提供されているため、必要な作業がすぐにわかる。

しかし、フリーソフトウェアを使っているサーバソフトウェアに関しては少々厄介だ。 メールサーバ(sendmail)、 DNS
サーバ(bind)、Webサーバ(Apache)、ニュース サーバ (inn)、キャッシュサーバ (squid) などについて、現在使っているバー ジョンが
2000年問題に対応しているか否かを確認しなくてはならない。幸いにしてこれらのフリーソフトウェアは最新バージョンですでに対応済みであっ
たため、バージョンアップ作業だけで済んだ。しかし、もしもこれらのソフト ウェアが 2000
年問題に未対応であったり、対応しているか否かわからない場合にはとても困ったことになる。自分でソースコードを読んで対応するか、同等の機能を持つ別のソフトウェアに乗り換えなければならない。

このような苦労をしたくないのならば、Cobalt Network 社Cobalt
Qube
のようなオールインワンのインターネットサーバを用いるのも良いのかもしれない。中身は Linux を
ベースにしたフリーソフトウェアなので品質には問題なさそうだし、なによりも販売元が1ヶ所なのでそこで 2000
年対応をしてもらえる。

インターネットクライアントの2000年問題

クライアントソフトウェアの 2000 年問題で有名なのはマイクロソフトの Windows
である。今年に入ってからも何度も新しい 2000年問題修正プログラ ムをリリースしており、ユーザの不信感を煽っている。最近、iMac
や iBook で盛り返しつつある アップルの MacOS が発売当初から対応済みであったことを考えると、対応の遅れが否めない。

PDA (携帯端末)のインターネット接続機能にも 2000 年問題対応が必要だ。たとえばシャープの Zaurus
では、一部の機種でメールの日付が誤表示されるという問題があるらしい。メールの送受信に問題があるわけではないが、修正プログラムの提供開始が1999年10月からということで、ユーザに残された時間はあまりない。

インターネットプロトコルの2000年問題

インターネットプロトコルの 2000年問題に関しては、1999年6月に発行された RFC 2626
(RFC は、インターネットに関するドキュメントの集まり。これはその
2626番目のもの)で詳しく解析されている。そこには様々な問題が指摘されているが、
我々になじみの深いプロトコルについてもいくつか問題がある。

  • DNS(Domain Name Service:
    インターネット上のホスト名とIPアドレスを対応させるシステム)
    DNS では IP
    アドレスなどの情報をゾーンと呼ばれる単位で管理する。その情報のシリアル(バージョン)番号は、管理者が自由に付けてかまわないが、990928XX
    のように、年2桁を使って表わす慣習があった。シリアル番号は大きいほど新しい情報だと解釈される。そこで、2000 年になって 99 を
    00 に変えると、その情報は以前よりも古い情報だと見なされ、情報が更新されなくなる。
    DNS は 1987年発行の RFC 1034, 1035 で定められているが、シリアル番号の計算方法については、1996年発行の
    RFC 1982 でさらに詳しく解説している。
  • 電子メール
    1982年発行の仕様(RFC 821, 822) では、送信するメールに
    添付する日付は年2桁で表現されることになっていた。これに対して 1989年発 行の RFC 1123
    では年4桁と仕様が変更された。年2桁表現のメールが届かなく
    なることはないが、受け取ったクライアント側で日付が正しく扱えなくなる可能性がある。
    受け取り側では対応不能なので、2000年以降にこのよう なメールを受け取ったら、発信者に注意してあげた方が良い。
  • WWW
    WWW で使われるプロトコル (HTTP 1.1, RFC 2068)
    では、日付の表現方法が複数あり、年が2桁の表現もある。実際に、現在の HTTP トラフィックの 20%
    にはこの表現方法が使われているらしい。これは相当な数だと言える。RFC 2068 ではこの表現方法から生じる 2000
    年問題を、クライアント側で回避する方法についても言及している。
    クライアントが未対応の場合、キャッシュに残っているコンテンツが最新版に更新されないおそれがある。
  • ネットニュース
    ネットニュースで使われるプロトコル(NNTP, RFC 977) とメッセージフォーマット(Usenet News Message
    Format, RFC 1036)の両方に、年2桁表記が採用されている。現在 IETFWG(ワーキンググループ) で対応中ら しい。