指も言葉もいらない−足踏みから脳波インタフェースまで−

コンピュータを使いこなしている人のイメージは、と問われれば、 目にも止らぬスピードでキーボードを打ち込んでいる姿を思い浮かべる。 マウスが登場してずいぶん簡単になってきたけれど、 メニューやアイコンがやたらと多くて、やっぱり難しい。 音声入力が使いものになるとずいぶん違うと思うが、 指も言葉も使わない、もっと直感的なインタフェースはないものだろうか。

画期的だったDDRの足踏みインタフェース

街のゲームセンターで大人気なのがダンス・ダンス・レボリューション(DDR)だ。 コインを入れたら、後はビートに合わせてステップを踏むだけ。 足しか使わない。 前後左右のたったの4ビットしかないけれど、 リズムを刻んだことで、無限のバリエーションが広がった。 足だけでこれほど複雑な入力ができるとは、見事な発想の転換というしかない。

もっとも、DDRのインタフェースだと、毎日使うには少々体力を使い過ぎる。 足でマウスを操作するだけなら既にあるが、 つま先とかかとを使った片足バージョンのDDR式コントローラが開発されれば、 普通のパソコンでもかなり操作できそうだ。

見ただけで、想うだけで

目の動きを入力に使ってしまおうという視線入力インタフェースは、 キャノンのカメラに使われている。 被写体を見つめるだけでフォーカスが合い、 ズームを切り替えることもできるという優れものだ。 パソコンにも応用できそうだが、 今のところ特別なメガネをかけなければいけないのが難点か。

誰もが夢見る究極のユーザインタフェースはやはり脳波だろう。 考えただけで文字が入力できれば便利なことこの上ない。 しかし、これはもはやSFの世界の話ではない。 実際に脳波キーボードを作ってしまった人がいるのだから。

でも、やっぱり楽はならない

キーボードをマスターするのは難しい。 でも、一度覚えてしまえば、 手書きよりも音声入力よりもはるかに速いスピードで入力できる。 脳波インタフェースはキーボードに比べると、 文字だけでなく図形なども同時に入力できる可能性を秘めている。 さらにはロボットのような複雑な機械も操作できるかもしれない。

しかし、それは決して楽になるということではなく、 キーボード以上に訓練が必要となるだけのような気がする。 以前に、十字キーでサラと戦えないのはオジサン(1999.3.23号) と書いたが、DDRですらもジェネレーションギャップを感じてしまう。 20年後にはエヴァンゲリオンのようにシンクロできないのがオジサンということになりそうだ。