インターネット・バンキングの次に来るもの

日本でもテレホンバンキングやインターネットバンキングを導入する銀行が増え始めた。
筆者のような独身サラリーマンには大変ありがたいサービスだ。
しかし、情報技術を活かすという意味では、米国の銀行は一枚も二枚も上手である。 大規模なリストラ時代にもシステム投資の手を緩めなかった米銀の情報戦略を見てみよう。

1本の電話から

ある日、会社から銀行に残高照会の電話を1本入れる。 最初は自動応答システムが対応していたが、きれいな声の女性が代わって、
先月に自動車ローンが完済されたことを教えてくれる。 続いて、
「お客様は、教育ローンが事前承認されていますが、ご説明を致しましょうか」という。 確かに子供がそうした年頃でもあるのでお願いすると、
手元のパソコンから銀行のシステムにアクセスさせ、
そこでいくつかの商品について実際の返済シミュレーションを見せながら説明してくれる。

カスタマー・リレーションシップが鍵

このような仕組みで本当に顧客が商品を購入してくれるかどうかは取りあえずおこう。
ただ、簡単そうに見える仕組みは、実は裏でさまざまな情報システムに支えられている。
顧客データベースは家族構成や月々の振り込み先などさまざまな情報を蓄えている。
こうした顧客データを分析して、教育ローンの潜在顧客を抽出したり、 リスクを評価してあらかじめ融資してよいかを決定する。
商品購入の履歴から、新しい商品を購入するパターンを探しだし、 このパターンをセールス管理システムに入力すると、
顧客がもっとも欲しがりそうな商品を示してくれる。 こうした仕組みを情報技術を駆使して実現しようとする米銀の狙いは一つ、
カスタマー・リレーションシップ(顧客との関係)の構築だ。

意識の高い米銀のCIO

こうしたカスタマー・リレーションシップ・システムについていえば、 日本の銀行は明らかに遅れている。
何が違うのだろうか? 一つはトップマネージメントの違いだと思う。
米銀のCIO(情報担当役員)が集まるセミナーに参加して驚かされるのは、 副社長クラスの役員達が、
カスタマー・リレーションシップ・システムについて熱心に議論をしていることだ。 それぞれ狙う目標も異なれば、方法も違うのだが、
実際にシステム構築を指揮している彼らの言葉には迫力があった。

金融工学と情報技術は、圧倒的な優位性を誇っている米銀の両輪とも言われている。
今は情報システムどころではない、というのは日本の銀行の本音なのかもしれないが、 このままでは競争力の格差は広がるばかりだ。