存在感を示すフリマアプリ

広がるフリマアプリ

スマホを使って、身の回りの使わなくなった衣類や家電をネット上のフリーマーケットに手軽に出品できる「フリマアプリ」が広がっている。出品は、スマホのカメラで出品物を撮影し、商品の説明と値段決めをして内容を送信するだけの数分で手軽にできてしまう。逆に商品は、ツイッターのごとく流れてくる大量の出品情報から、通常のECと同じように購入することができる。

フリマアプリの最大手はメルカリ社だ。メルカリは、2013年立ち上げ後、後発ながらも急成長し、今ではフリマアプリの代表格だ。ダウンロード数も1,000万(15年2月時点)を超え、多くのスマホにインストールされていることになる。商品のジャンルは、「レディス」「メンズ」「キッズ」等衣料を中心に、「インテリア」「家電」「チケット」「ハンドメイド」等、総合デパートの位置づけだ。

購入者は、出品物に「いいね」をつけることができるほか、コメント欄を使って、出品物への要望や値下げ交渉等も行われている。こうしたやり取りを見ていると、Facebookやツイッター等SNSと変わらない。SNSに物販機能をつけたものがフリマアプリというとらえ方もできるだろう。

今後の成長が期待されるC2C市場

元々フリーマーケットは、一般消費者が身の回りの品物を出品し、これを消費者が購入する消費者同士の物品販売である。オークションも値付けの仕方は異なるが、同じく消費者同士の取引であり、これら二つの取引はあわせて、C2C(Consumer to Consumer)と呼ばれ、今後の成長市場と目される。フリマアプリはこのC2C市場を牽引する原動力であるのだが、これには大きく以下の工夫が寄与している。

一つ目は、出品の敷居を低くしたことだ。フリマアプリでは、手数料を10%程度に抑えているものが多く、気軽に出品できる。また、出品をシンプルに促すよう工夫されている。例えばメルカリでは、画面右下に「出品」ボタンが配置されており、ここからすぐに出品のプロセスが始まる。これが大量の出品につながっており、中には断捨離感覚で身の回りで出品できるものをいつも探すような人も生み出しているようだ。こうした出品への敷居の低さが、各社フリマの市場の厚みへとつながっている。

二つ目は情報収集・発信のし易さである。出品物の写真や商品の状態等の情報が掲載されるほか、コメント、「いいね」等、ソーシャルネットではお馴染みのやりとりができる。また出品者のプロフィール情報や、過去の出品物についての取引履歴、コメント履歴や、取引相手からの評価を一望することができる。いわば出品者の行動がガラス張りになっているわけで、ここから、出品物についての概ねの信頼感がわかる。

三つ目は取引の安全性である。フリマアプリでは、出品物や取引に関するルールが定めらており、日々バックオフィスで遵守のチェックが行われている。また、出品者と購入者間の代金のやり取りを代行するエスクロー方式が標準で利用するようになっており、金銭トラブルの対策が取られている。こうした工夫で、通常のECと変わらない安心感で買い物ができる。

求められる品質保証

とはいうものの、現在のフリマアプリは、若者向けの安価な商品取引が中心であり、ここら辺に市場成長の天井感が見られる。フリマアプリでは、せいぜい出しても数千円まで、といった感覚を持っている人が多いのではないか。数万円の商品をフリマアプリで買うのはなかなか勇気のいることだ。

これは、いくら出品・取引ルールやチェック体制、出品者評価があるといっても、やはりフリマ商品は、出品されている商品の真正性や、写真では見えない傷があるのではないか等、品質について不確実な部分があるからである。また、品質なりのこなれた価格になっているのかも不透明だ。掘り出し物を見つけるということなら、それでもよいのだろうが、日常の買い物の中心的な手段にはなりえないだろう。

では、この限界を超えるには何が必要か。一つは、ブランド物については真正性の、家電等については動作保証等品質についての保証書を発行することである。これで品質についての不確実性を減らすことができる。その上で商品をブランド・メーカー、商品型番ごと、また、同じ品質の程度の商品を並べて、価格を比較できるようにすれば、価格調整が効くようになり、品質に見合った価格に収れんするようになるだろう。このことで、フリマアプリは、掘り出し物を見つけることが少なくなる代わりに、期待外れの商品を掴まされることもなくなる。シュアな買い物手段として、より存在感が高まるのではないか。