私事ながら、今年の5月、GWの真っただ中から趣味の一環としてソルトウォーターフィッシング(海釣り)を始めた。陸っぱりからルアー(エギ)を使いアオリイカをターゲットにしたが、計25回の釣行で3杯と惨敗と言っていいレベルに留まった。 多くの時間を割いたわけだが、釣果を期待する家族からも非難の声が出始めている。
年の瀬も迫った今日この頃、2015年の名誉挽回に向け、ITを駆使して釣りをする事を検討している。
釣果を上げるために必要な3大情報
まだまだ初心者レベルであるが、釣果を上げるためにはいくつかの情報が必要である事がわかってきた。
- コンディション情報
- 釣り場情報
- 釣果情報
釣りには”時合い”が存在する。時合いとは、潮回り、天候、水温などの条件が重なり、魚が活性化する時間帯の事である。特に大潮(干満の差が激しい時)や、朝まづめ/夕まづめ(魚の食事タイム)には釣果が上がりやすいと言われている。
どこに釣り場があるのかに加え、その釣り場の地形が重要である。地形とは海中の様子を指し、水深や海底の形状(かけあがり、砂地帯、海草帯など)の事である。
百聞は一見に如かず、どの釣り場でどんな魚が釣れたのかは非常に重要な情報となる。
ITと釣りの現在
では、ITを使ってどこまで情報が取れるのか、現在のIT事情から探ってみたい。
- ホームページ、ブログ
- スマフォアプリ
- 魚群探知機
主に3大情報としてあげた1.~3.をカバーしている。
「1.コンディション情報」は、気象庁や海上保安庁のホームページが元となるが、本来の目的が釣り人のための情報ではないため見易さに不自由する。
「2.釣り場情報」は、釣り具店や個人ホームページにも釣り場所の情報はあるが、海中までの情報は乏しい。
「3.釣果情報」は、釣り具店や個人ブログとなるが、具体的な釣り場が掲載されることは少ない。
主に「1.コンディション情報」および「2.釣り場情報」をカバーしている。
スマフォアプリが優れている点は、釣り人向けであるため情報の集約化と見易さである。また、その他、写真を取るだけで魚を判別するアプリ(毒魚対策に有効)や、魚の大きさを測る電子メジャーアプリなどもある。
「2.釣り場情報」の海中地形と魚の存在を教えてくれるものである。かつては船だのものであったが、陸っぱりから使える魚群探知機としてSona.r Ballなる革新的な製品が登場している。これはカナダのFishHunter社が開発したもので、海面にソナー付きのボールを浮かべ、Bluetoothを介してスマフォやタブレット上に情報連携するというものである。水深約30m、探知直径は約15m、ボール~スマフォ間通信は15~30m程度という制限はあるものの、テクノロジーの進化によってより広範囲を探れる様になってくるのは想像に難くない。
この様に見ると、スマフォアプリと魚群探知機を駆使すれば、より釣果を上げる事が期待できる。
情報提供のインセンティブ(金銭的報償、社会的評価、自己実現)
しかしながら、「3.釣果情報」に限っては難しい課題が存在することも分かった。これは情報提供のインセンティブの問題であり、船釣りと陸っぱり釣りで大きく異なる点でもある。船釣りの場合、船宿は釣果情報を提供する事によって集客が見込め、釣り人は釣果の良い船を選択し乗船料を払うという金銭的報償のインセンティブが働く。
一方、陸っぱり釣りでは、基本的に無償の釣り場という事もあり個人が発信する釣果情報は自己実現のインセンティブである。具体的な釣り場を明かさないのは、自身が通う釣り場に人が溢れ、荒らされない様にしたいという考えがある。貴重な情報はただではないという事をあらためて認識した。
最後に:釣り業界のIT化に期待すること
今までは漁師やベテラン釣り師しか知りえなかった情報の一部が、ITの力により飛耳長目でない釣り人にも簡単に手に入れられるチャンスが広がっている。 今後、釣り業界のIT化では、釣り人同志の繋がりやコミュニケーション強化に着目し、先述した情報提供のインセンティブの課題を乗り越える新たな価値を創造して欲しい。