CIOの現状
CIOという役職がアメリカから日本やってきて久しいが、日本企業においてCIOは根付いているのか?
明確にCIOを設置している、若しくは担当役員という形でCOOやCFOとの兼務という形にしているなど企業により様々ではあるが、情報システムがビジネスに欠かせない時代となった今日、何かしらの形で情報システムを統制する役割を担う人材を配置している。
しかし、一方では情報システム部門はコストセンターである、事業部門に対して頭が上がらないなど、どこかの特集記事や実際の現場でも目の当りにする事も少なくない。この様な状況下では、CIOが上手く機能していない事は容易に想像がつく。
今回、CIOに求められるものについて考えてみたい。
CIOの役割とは?
そもそも、CIOとはChief Information Officer(最高情報責任者)の略であり、日本政府にも2000年以降、各中央府省にCIO、若しくはCIO補佐官が設置されているのはご存知であろう。
政府CIOポータルの中で、CIOの役割を簡潔に3つ定義している。
- 戦略パートナー
- 経営陣の一員として、経営戦略を展開させるための、ITの観点を持った積極的な参加者
- 戦術の実行者
- 戦略を実行する上でのコントロールタワーとして実行する責任者
- ニーズに応える支援者
- 関係者の問題を把握し、ビジネス志向の支援を実施
また、世界的にICT関連の調査・アドバイザリーで有名なガートナー社では、次世代のCIO像を4つのシナリオで定義している。これによれば、その企業の目指す方向より、CIOに求められる役割が変わるとしている。
確かに、企業の経営方針や置かれている状況に応じ、情報システムの方向性そのものが異なるため、CIO像も様々というのも理解できる。
次世代CIOに求められる本当のところ
先の2つの定義がCIOに求める知見や能力は多岐にわたる。 これを真正面から受け止めるには、重過ぎはしないか?高度化し過ぎて、見失っていないか?本当のところ、CIOのもっとも重要な役割は何であるのか?
私は、2つの定義に共通している、そして最も上位(根本)に位置づけられる「その企業のIT戦略(未来)をたてる」という事に注力すべきだと考える。 平易な言葉に言い換えると、「ビジネスに応じたITを作る」、「先(未来)を見る」の2点に尽きる。
何を今さらとおっしゃられる方もいるかもしれないが、根本がしっかりしていないとままならないのは、木の幹もしかり、ゴルフスイングの軸もしかり、投手の下半身もしかりである。 次世代を担うCIOの皆様には、いの一番に自社のIT戦略を見直して頂きたい。