最近、プロジェクションマッピングがすごい。プロジェクタの進化に伴い、様々な場所・イベントで利用され始めており、その表現力には驚かされるものがある。Google Glassの登場で再び盛り上がるARとともに、SFの世界に出てくるような技術が実現しつつある。
進化するプロジェクションマッピング
プロジェクションマッピングは、簡単にいうと、デジタルプロジェクタを用いてCGを現実世界の建物やオブジェクトに投影して様々な表現を実現するものである。最近盛んに利用されている技術であり、(あっという間に中止になってしまったものの)東京駅へのプロジェクションマッピングやさっぽろ雪まつりでのプロジェクションマッピングなど見た方もいるのではないだろうか。その技術が最近さらに一歩進み、ますます凄みを増している。
ミウラの軟水のCM「スゴイ水」では、プロジェクションマッピングとKinectで利用されているようなモーションセンサとを組み合わせて、人の動きにあわせた3Dのプロジェクションマッピングを実現している。プロジェクションマッピングは現実世界にCGを投影し融合させるMR(Mixed Reality)の一種といえるが、この例ではまさに現実とCGが違和感なくミックスしており、人がCGの中に実際に入っているような感覚が実現されている。
逆に、現実にCGを映し出すような技術も実現されている。プロジェクションマッピングと透明なスクリーンを応用して、東京・両国国技館での「FLOWER FLOWER」のライブでは、ステージ上のアーティストの姿を突然消したり、周りに歌詞を浮かせたり、魚を泳がせたりといった演出を現実空間に実現させている。文字で表現すると伝わらない部分も多いため、見ていない方はぜひ一度見ていただきたい。このライブではステージの周りに張った透明なスクリーンに映像を投影する(つまりプロジェクションマッピングする)ことで、アーティストの周りに3Dホログラフィックを実現している。
プロジェクションマッピングと、センサやスマホ、スクリーン等の最新技術を組み合わせることで、表現や演出の幅が急速に広がっているのである。
ARの進化
プロジェクションマッピングに負けじと、AR(Augmented Reality)も次の段階に移りつつある。現実世界に映像を投影しCGと融合させるMRに対して、ARは現実世界及び現実世界を映した映像に対して文字や映像情報を重ね合わせる技術であり、MRの一種とされているものである。
近年はスマートフォンの普及により手軽にARを楽しめるようになり、ARアプリを用いたプロモーションを見る機会も増えてきた。また、パイオニアのカーナビ「サイバーナビ」では実写映像に対して情報を重ね合わせたり、フロントガラスの前に設置したディスプレイを使ってナビ情報をフロントガラスから見える景色と重ね合わせて表示することも可能となっている。注目のメガネ型デバイスGoogle Glassも、2013年4月に開発者向けに提供され、今年度中にも一般発売される予定だ。
これらのARでは、主にGPSセンサや地磁気センサ等のセンサから得られた位置情報に基づいて情報の重ねあわせが行われており、計測精度の向上がカーナビ等の利用分野の拡大につながっている。
AR/MRの利用用途の拡がり
ARやMRといった技術は現在、主にプロモーションやイベントの演出といった用途で利用されている。今後、センシング技術の進歩が進み、現実世界に対してより正確に投影することができるようになれば、その用途はさらに広がるだろう。実際に医療分野への適用を試みて、外科手術の際に人の体に対して断面映像をプロジェクションマッピングし手術の支援をするといった研究も行われている。福祉分野でのリハビリや介護の支援、建築・製造での設計支援、教育現場や観光での活用等、考えられる応用範囲は広く、普及の鍵はセンシング技術とのコラボレーションである。