ロケーションプライバシーの今 – 位置情報サービスに関する意識調査より

2012年4月末、ほぼ3年ぶりに携帯電話等の『位置情報サービス』に関する意識調査を実施した。 位置情報に関するプライバシー意識の今を把握することが目的である。本稿ではこの調査結果から次の点に着目して結果の一部をご紹介したい。

  • 位置情報サービスをいつ・どこで利用することが多いのか
  • 位置情報サービスを意識的に使わない場所はあるのか
  • SNSに書き込みが多い人は位置情報の発信にも抵抗感がないのか

調査は、gooリサーチのインターネットモニタ2214名を対象としている。また、位置情報サービスの例として次を示している。

  • ナビゲーション: 目的地までの行き方を地図上で表示してくれる
  • 安心安全: 子どもやお年寄りの位置や安否を追跡する
  • 周辺店舗検索: 周辺の店舗情報を検索する
  • チェックイン: 現在いる飲食店などの場所をGPSの現在地情報から検索して探し、その場所に「チェックイン」できるようにする

位置情報サービスはプライベートでの利用が多い。おじさま世代は仕事でも活用。

位置情報サービスを利用する場所は、「遠出した先」(62.2%)が最も多く、以下「市街地」(46.7%)、「駅周辺」(37.3%)の順になっている。また、利用する状況は、「休日」(58.3%)が最も多く、以下「プライベートの外出中」(55.5%)、「旅行中」(42.9%)の順になっている。「仕事の外出中」と答える割合は20%となっているのだが、45歳から59歳の層が28%と20代の13%、30代の16%に比べて12~15%高くなっている。仕事の外出機会が年代によって異なるのだろうか。なお、20~30代は「休日」が71%と平均より13%高い。

自宅周辺での利用を回避する利用者は2割(表1)

「位置情報サービスを使う際に、意識的に位置情報を送らないようにしている場所はありますか」という問に対し、「特にない」(70.1%)が最も多く、以下「自宅、自宅周辺」(21.6%)、「自宅最寄り駅の周辺」(9.2%)の順になっている。自宅周辺での利用を警戒するのは、20代後半(25~29歳)が30.1%と平均より10%近く高い。若い女性が気にしているのかと思いきや、20代後半は男性も27.3%と平均より高い。なお、30代後半は男性の方が28.0%と女性の24.1%よりもむしろ高い。30代後半の男性は、ネットのプライバシーの問題を都度目の当たりにしてきており、関心の高い層なのだろうか。はたまたプライバシーを気にするお年頃なのだろうか。今後の推移に注目したい。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で情報を発信する人は位置情報の発信にも慣れている?(表2)

「SNSにはどれくらいの頻度でコンテンツを書き込んでいますか」という問と、

  • 「サービス提供者に位置情報を提供する場合、どのくらいの精度なら抵抗がないですか」(空間的精度)
  • 「サービス提供者に位置情報を提供する場合、どのくらいの頻度なら抵抗がないですか」(時間的精度)

という問の関係を表に示す。表から読み取れる情報として、SNS(ここではTwitterを除く)に1日5件以上書いている人に位置情報の開示に問題を感じていない傾向がある。また、SNSに登録しているが書き込まないという人が位置情報の発信にも警戒感をにじませている様子がうかがえる。

今後も位置情報サービスに対する意識は継続して調査して行きたいと考えている。最後に宣伝で恐縮だが、3年前の調査結果との違いや、海外との違いなどは宣伝会議5月15日号に寄稿した記事を是非ご一読頂きたい。