オフィスワークはどこに行くのか?

東京、東北両電力管内での電力使用制限令が9月9日に全面解除された。それまでの間、節電のための在宅勤務のあり方は多くの企業で検討されたのではないだろうか。日経BP社の調査では、2011年5月の段階で31.4%のユーザー企業(N=220)が在宅勤務を支援するシステムを導入していた。導入しているシステムは、リモートアクセス、メール・グループウェアの社外からの利用が7~8割、リモートデスクトップやテレビ会議が3割強であった。本稿では、オフィスワークに変化を与える可能性を持つ、さらに前衛的な情報技術に注目したい。

10年後にオフィスは無くなる?

英国Virgin Business Media社のアンケート調査結果によると、2021年までには遠隔業務が中心になり、オフィスが無くなると58%の労働者が考えているという(N=1,000)。これは、英国のコメディ番組”The Office”の10周年記念調査とのことである。同調査で、56%が通勤時間の短縮を信じており、希望的観測を聞いているような印象を受けるが、過去10年の変化に対する反応といえる。

同様に、Microsfot社に買収されたSkypeから出されたレポート(PDF)でも、75%の意志決定者が遠隔勤務が一般的になってきたとしている(N=500)。だがその一方で、生産性が高まると回答した従業員は50%にとどまっている(N=500)ところが問題だろう。

オフィスでの存在感を高めるには

遠隔勤務の生産性を上げるための取り組みとして、通信や部屋などビデオ会議環境の整備が挙げられるだろうが、別の切り口として米国から前衛的な2つの製品(AnybotsVGo)が発表されている。これらは、PCから遠隔操作できる車輪付きオフィスロボットであり、顔のところに操作している人の顔などを表示できるモニタがついている。例えば、会議室に生身の人間の代わりに出席することを想定している。カメラ、マイク、スクリーン、スピーカーを備えているため、オフィスの人たちとインタラクションできるというわけである。隣の席にいたら違和感はかなりありそうだが、存在感も確かにありそうだ。いずれにしても、遠隔業務を推進する世の中の流れを示す事例だろう。

メールを解析すれば就労環境は良くなる?

生産性のもう一つの問題として、メールが多すぎることを多くの管理層が問題として認識している、とSkypeの同レポート(PDF)は指摘する。だからこそビデオ会議を、というアプローチなのだろうが、全く別のアプローチを取るビジネスも始まっている。Cataphora社は、社員の大量のメールから、使える社員、有害な社員を抽出するソフトウェアを販売している。
このソフトウェアは、メールデータから、異常行動の検知、長期の変化、同じ職種の人の中での異なる労働習慣を判定する。経営層に潜在的な違法行為やセキュリティの脅威を伝えることになるのだが、怠惰な従業員からまじめに働く従業員を守るという大義名分も掲げている。どのように判定するのかという点に関しては、例えば、”Please”を多用しすぎる人は、一度無視されて頼み直すなど、力不足さを露呈している、といった具合である(参考記事)。メールは社内に眠るいわゆるビッグデータであるのは確かだが、なかなか考えさせられるソフトウェアである。

今後、デジタルネイティブ世代が社員の多くを占める時代も到来すると、多様な働き方や管理を求めてくるだろう。そうなると、本稿で見てきたように、オフィスにロボットがいたり、そもそもオフィスがなかったり、メールを分析されたりと、遠隔コミュニケーションスキルも大いに問われうる。古き良き時代のオフィス環境以外でも効率的に働けるように、また、メールの『正しい』マナーも今から慣らしておいた方が良いのかもしれない。