電気自動車が生み出す新たなサービス

電気自動車が実用化されるのはまだまだ先の話と思っていたが、街を歩いていると急速充電スタンドをたまに見かけるなど、予想以上に時代の流れは早いことを感じる。自動車のように社会に普及し浸透している交通手段に変化が起こると、新たなビジネスが誕生してくるのは常だが、実際に、日産の電気自動車「リーフ」の販売開始により、様々な付帯サービスが立て続けに発表され、新たなビジネスも展開されつつある。自動車という長きに渡り大きな変化のなかった産業分野に、新たな技術が導入されることによって、どのような付帯サービスが誕生しようとしているのかを見ていくことにしたい。

ガソリンスタンドから急速充電スタンドへ

当然のことであるが、電気自動車も自動車である以上、エネルギー供給が最大のポイントとなる。車ではガソリンスタンドがあるように、電気自動車では急速充電スタンドが必要になる。

日本ユニシスは「smart oasis
という充電インフラシステムサービスによるサービス提供を開始している。これは、電気自動車の充電インフラを利用するための利用者認証機能や課金機能および、充電装置の位置情報・空き情報を提供するシステムサービスである。

このサービス、一見すると、特に目新しく、驚くべきサービスが提供されている訳ではない。しかし、電気自動車の場合は、従来のガソリン車のような短時間でのエネルギー補給はできず、急速充電器を使ったとしても、20分から30分の充電時間がかかることから、将来的には急速充電スタンドは混雑することが予想され、充電装置の空き情報サービスは重要なものとなる。

このような仕組みが発展していけば、バッテリーの残容量と渋滞情報を組み合わせて、どのスタンドを選ぶかなど、様々な情報提供サービスが出てくるであろう。更に、周りの車のバッテリー残容量情報も活用して、急速充電スタンドの混雑状況予測や、そこへ至る車の台数から、渋滞状況の予測など、様々な付帯サービスへの発展も期待できる。

充電時間が生み出す新たなビジネスモデル

充電時間がかかることを考えれば、その待ち時間を利用した様々なサービスが出てくることは十分に予想できる。実際に、待ち時間を使って食事やショッピングに誘導するなど、他のサービス産業を巻き込んだサービスの提供も始まっている。

ららぽーと横浜の駐車場ウェスティンホテル東京の駐車場に電気自動車充電スタンドが新設されるなど、誘客の一つの目玉として充電スタンドを設けて、無料で充電が行えるサービスを提供している。また、東京都世田谷区のLPガススタンド「東京日石オートガス経堂営業所」では、200ボルトの充電器を自販機に併設して、ジュースを買うと30分間の充電ができるサービスを提供している。

さらに、時間貸駐車場「タイムズ」を運営しているパーク24は、約50カ所の駐車場に充電器を設置して、当面は、駐車場利用者なら誰でも使えるようにするが、いずれは、駐車料金支払いカード会員などに利用を限定することを考えており、充電中の利用者の近隣の飲食店に誘致するなど、連携による新たな試みを視野に入れた検討を始めている。近い将来では、ポイントカード会員ではなくて、充電カード会員がごく当たり前になっているかもしれない。

インフラ整備に向けた動き

今後、様々な付帯サービスが出てきそうな電気自動車であるが、
このままの状況で進んでしまうと、互換性のないサービスが乱立することになってしまってしまう恐れがある。こうしたことを避けるために、国などによる通信規格などの整備も重要になってくる。

こうしたなか、総務省によりEV用急速充電器の利用者認証や遠隔運用などのクラウドサービスに関わる通信規格の評価実験が開始されている。「急速充電システムの遠隔運用管理の評価」、「クラウドサービス間の認証相互接続の評価」、「充電器情報の管理・表示内容の評価」を行うことになっており、利用者の認証や運用管理に関するクラウドサービスの通信規格の統一へ向けた標準化を目指すものだ。今後の様々なサービスの発展へ向けた柔軟性のある基盤環境が確立されることを願いたい。