オフィス文書のシステム化

地道に拡大するOpenOffice.orgのビジネス利用

2010年2月、文書フォーマットのひとつであるODF(Open Document Format)がJIS規格になった(JISX 4401
オフィス文書のためのオープン文書形式(OpenDocument)v1.0)。また、最近では三洋機工がアシストのサービスを受けてOpenOffice.orgを導入したという。ODFはISOでは既に承認されており、また、アシストはこれまでも会津若松市や四国中央市などの自治体や住友電工やトーホーなどの企業へのOpenOffice.org導入をサポートしていたが、今回の動きはさらなるOpenOffice拡大へとつながる可能性を秘めている。

オープンソースのオフィススイートであるOpenOffice.orgは、MS
Officeに対して支払うライセンス費を削減できるとして注目されてきたが、MS
Officeとの互換性や職員の再教育コストなどが障壁となっていた。依然としてこれらの課題は残っているものの、各組織がMS Office
2003から2007へのバージョンアップで追加投資や再教育、互換性の問題に直面していることを考えると、以前よりは相対的に障壁は低くなっている。

ODFのJIS化が後押し

このような状況下において、冒頭のような動きはOpenOffice.org(や類似のソフトウェア)にとって追い風となるとともに新たな市場を作り出すチャンスでもある。

まず、ODFがJISになったことで、文書の長期保存に向いているということをアピールしやすくなった。クローズドなフォーマットの場合、ソフトウェアの開発が中止されると文書が読めなくなってしまう(たとえば大昔のワープロで作成した文章を思い出してみよう)が、オープンなODFであれば対応するオフィススイートがなくなってしまっても仕様を参照しながら読むことができる。これまでもISOの標準ではあったが、国内規格になったことで自治体や日本企業としては採用しやすくなったといえる。

他のシステムとの連携が容易に

さらにアシストの動きはオフィススイートと社内システムの連携を加速させる可能性がある。これまでオフィススイートで作成した社内文書はメールで送ったり印刷・捺印して紙で送ったりしていたことが多く、清書用としては優れているが管理には不向きであった。三洋機工への導入ではQRコードとOpenOffice.orgを用いて旅費精算ができるようにし、パートナー企業もBIツールやデータ連携ソフトウェアをODFに対応させてきている。

システムとの連携はMS
Officeでも可能だが、ODFはXMLをベースとしたフォーマットであるため、既存のXMLツールを利用することによってより容易に実現できることが特長である(たとえば、ODF
Toolkit
がオープンソースで公開されている)。システム連携は生産性の向上につながり、OpenOffice.orgの新たな売り文句となろう。「ライセンスコスト削減」と「長期保存対応」だけでは「移行コスト」に対抗し切れない部分があったが、「システム連携による生産性の向上」を加えることにより、OpenOffice.orgへの移行企業が増える可能性がある。アシスト等のサポート企業にとっては、生産性向上の効果をわかりやすく示すことが課題である。

オフィススイートは「生産性ソフトウェア(Office Productivity
Software)」と呼ばれることもあるが、ともすれば「清書ソフトウェア」として使われがちであった。OpenOffice.orgのサポート企業がシステムとの連携に力をいれて好評を博するようになれば、MS
Officeを扱う企業も同様のソリューションに力を注ぐことだろう。オフィススイートが「清書ソフトウェア」から脱皮して「生産性ソフトウェア」となることを期待したい。