街の顔を探る地図情報サービス

人気の地図情報サービス

インターネットサイトの地図や、ナビゲーションシステムを用いて、より早くより確実にいろいろな場所へ行きやすい環境がより整いつつある。ナビタイムを用いてどの交通機関をどういった組み合わせで利用すれば、一番早くたどりつくことができるかを知ることができ、交通機関をおりてからもGoogle
Street
Viewを用いて、事前に目印や町並みを確認することもできる。地図情報サービスは充実しつつあるが、数ある地図情報サービスの中でユーザに継続的に使用されるサービスとなるには、エンターテイメント性やよりユーザの感性に合ったものが必要であろう。今回は既存の公開情報を活用し、ユーザの感覚を捕らえる新たな地図情報サービスを考えてみた。

自分の好みの街と似ている街

公開情報としてMapion電話帳に掲載されている情報を用いた。Mapion電話帳では駅単位の施設数をカテゴリ(飲食店数、商業施設数、宿泊施設数など)別に網羅的に見ることができる。Mapion電話帳に公開されている駅単位ごとの商業施設のデータを22のカテゴリ(グルメ、デパート、スーパー、コンビニ、病院、大学、官公庁施設等)に集約し、非階層的クラスタ分析の代表的手法であるk平均(k-means)法により首都圏の駅をクラスタに分類したところ、街の特徴を捉えることができた。

特徴が良く出ていた3つのクラスタについて挙げる。例えば①は官公庁街クラスタ、②は大学の数と飲食施設が多く学生で賑わう学生街のクラスタ、③は飲食点数が多く宿泊施設の多い歓楽街のクラスタである。

【①官公庁街クラスタ】   【②学生街クラスタ】   【③歓楽街クラスタ】
   
霞ヶ関駅 (東京都)   御茶ノ水駅   大久保駅 (東京都)
国会議事堂前駅   三田駅 (東京都)   新大久保駅
永田町駅   早稲田駅   東新宿駅
溜池山王駅   西早稲田駅   鶯谷駅
虎ノ門駅   水道橋駅   京成上野駅
    茗荷谷駅   浅草[つくばEXP]駅
    東大前駅   蒲田駅
    駒沢大学駅   神泉駅
    三軒茶屋駅   大塚駅 (東京都)
    成城学園前駅   大塚駅前駅
    中野坂上駅   伊勢佐木長者町駅
    駒込駅   阪東橋駅
    江古田駅   黄金町駅
    新桜台駅    
    片倉駅    
    八王子みなみ野駅    
    大塚・帝京大学駅    
    中央大学・明星大学駅    

3つのクラスタを地図上にプロットしたものが図1である(地図はGoogle
Earthを使用)。青色アイコンが官公庁街、赤色アイコンが学生街、黄色アイコンが歓楽街を示す。都心に官公庁街が位置し、山手線の西部~北部に歓楽街が位置し、学生街が郊外に位置しているのが分かる。

このように公開されている既存のデータからも街の特徴を捉えることができる。インターネット上での公開されているデータの2次利用は著作権法により規制が行われているため、本分析結果の無断での商業利用はできないが、これらのデータは不動産屋向けにMapionの付加サービスとして、街の特徴付けや、似ている街の情報を提供できないだろうか。例えば、地方出身者は上京してきたとき、その街の本来の顔が分からないため自分の好みの街を見つけることが難しい。このデータを使えば、街の特徴を客観的に判断することができる。また、家の住み替えを希望する人に、今の街と似ている街を把握するにもよいサービスとなり、情報の蓄積を進めることで、旅行の際により自分好みの街を運営者の側から発信することも可能となろう。

類似サービスとして、価格.comが運営するマンションDBでは、事業所・企業統計、タウンページ統計情報、全国銀行店舗データ、国勢調査等のデータを用いて、市町村別に7つの指標(閑静、子育て案震度、教育、健康、生活利便性、同世代比率、過密性)で街力のスコア・ランキングを付け、地域内の不動産物件の紹介を行っている。

また、東洋経済も全国の市を対象に「住みよさランキング」を算出し「都市データパック」の中で毎年公開している。こちらも国勢調査等の公開データをもとに、全都市のデータを母集団とする偏差値から各都市における安全性、利便性、快適性等から住みよさのランキングを出している。

こうした既存サービスでも街の特徴を捉えることが出来ているが、類似した街を探すという点は今回の分析結果は新しいのではないか。自分の既に知っている街と似ている街というと、知らない街でも想像しやすくより自分の感覚に合った街を見つけることができる。また、統計データと比較して、Mapionのデータはカテゴリ分類の粒度が細かい。例えば飲食店であれば、和食、ラーメン、そば・うどん、寿司、焼肉等、カテゴリが細分化されているため、より正確な街の特徴を捉えやすい。(カテゴリの数が多いだけに、分析をする際にはどのカテゴリを使用するか、カテゴリの集約が少し厄介ではあるが。)

カーナビゲーションシステムへの利用も考えられる。現状のカーナビゲーションシステムでは、渋滞予測、通行履歴からより実用的なルートを案内する等の実用的な機能が中心となっているが、こうした外部情報と組み合わせることにより、よりエンターテイメント性の高い機能を織り込むことも可能であると考える。
例えば、友人や家族とドライブしている際に、どういったものが食べたいか悩んで携帯電話でとっさに調べたりした経験はないだろうか?I
TUNESのGENIUSのように、個人の嗜好を記憶し、お勧めのお店を周辺から案内するようなサービスをカーナビゲーションシステムで提供できれば顧客の誘導に繋がる。

地図データは宝の宝庫

今回は公開されている静的データをもとに街の特徴付けを行ったが、今後はGPSを利用した動的な位置情報に基づいた街の特徴付けも考えられる。NTTドコモは経済産業省の平成19年からの3ヵ年プロジェクト「情報大航海プロジェクト」で、GPSの位置情報や店舗での購買履歴の利活用の実証実験「マイライフアシストサービス」を実施、店舗のリコメンデーション等を行っている。また、弊社も今年度の情報大航海プロジェクトの中で、マイライフアシストサービスの情報収集プラットフォームを一部利用し収集した行動情報の解析・応用の実証実験「行動情報マイニングエンジン」を行っている。動的な位置情報を活用すれば、データも自動で更新され、日にち(平日や休日)や時間帯(時間帯)別に、より正確に街の顔の変化も捉えることができる。

このように、位置情報サービスは今後まだまだバリエーションが増えるであろう。地図データは宝の宝庫である。(何より、地図は男心をくすぐる.。。。と周りの男性が言っていた。)