OpenOffice.org Conference 2009 に参加して

2009年11月4日から6日まで、イタリアはオルビエートという街で開催されたOpenOffice.orgカンファレンスに参加した。
今回はそのレポートに加えて会場で見かけた変なモノを紹介したい。

OpenOffice.orgカンファレンスとは何か

OpenOffice.orgカンファレンス(以下、OOoCon)は、オープンソースのオフィスソフトウェアであるOpenOffice.orgの開発者やユーザなど様々な関係者が集まる国際会議である。
最近では、2007年はバルセロナで、昨年2008年は北京で開催されている。 そして今年のOOoConはイタリアのオルビエートで開催された。
OOoConには様々な人々が集まり、話題も活用事例の報告から開発者向けの内容、コミュニティ活動の話、教育や各国の言語事情など様々なトピックにわたる。
今年度のOOoConでも毎日4、5個のトラックに分かれ、全部で80弱のセッションが開催された。

200名に迫る参加者のなかで、今回の日本人参加者は6名。 その他、アジアからはIBM
ChinaやRedFlag社を中心として中国からの参加も目立った。
残念ながらその他のアジア諸国から、参加者は居なかったように見受けられた。
数々の言語で国際化されているOpenOffice.orgを象徴するように、様々な国から様々な立場の方々が参加している点がユニークでもあり、またカンファレンス自体をいっそう楽しいものにしていると感じられた。
今回、日本人の発表は1件だけだったが、過去には日本からも多数の発表がなされている事例もあるので、OpenOffice.orgで何か面白いことをやっている方は積極的に発表してみてはいかがだろうか。

なお今回の基調講演はボローニャ市のOpenOffice.org移行に関する話題、Open Forum
Europeの活動紹介、そしてイタリア北部・南チロル地方のフリーソフトウェア活用の3本立てであった。
ボローニャ市の事例発表には、会津若松市や箕面市の事例同様、コストをあまりかけられない中で、積極的に現行の資産を活用するための工夫が盛り込まれていた。
またとくに印象的だったのが南チロル地方政府のフリーソフトウェア活用に関する発表で、1993年には既に交通系システムのサーバにLinuxを活用し始めていたとのこと(Linuxの開発は1991年にスタートしている。現在のように一般的に活用されるようになったのは2000年前後である)。
イタリアにおけるOSS活用が盛んな地方の一つとして代表的な存在なのだそうである。

会場で気になったこと

実は私も今回はじめての参加で、今回の印象だけで断定するのは望ましくない。
それを断ったうえで、今回参加した感想からいくつか気になったことを報告しよう。

まずOOoConそれ自体はコミュニティ中心のイベントとはいえ、かなり企業色も強く見え隠れしていることだ。 Sun
Microsystemsが主体的にサポートしているOpenOffice.orgゆえに、Sunの方々が中心的な役割を演じていたことは否めない。
しかしその他にも見回すとIBMチームやNovellチームが大きな存在感を放っていた。
比較的小規模なところではRedOfficeを抱える中国のRedFlag、そして残りが政府関係者や個人で参加している面々といった構成か。

OSSのイベントとはいえGoogle、Microsoft、OracleといったIT産業のメジャープレーヤーからもしっかり参加者があったことは無視できない。
なお彼らに「日本の状況はどうなの?」と訊くと、「日本(法人)はちょっと違うから」と口を揃えて語っていた点がとても気になる。
この問題については稿を改めて、いつか論じてみることにしたい。

またIBMチームの存在感が強かったのは何もIBM社員の参加者が多かったからではない。
プログラムをくまなく見ると、「Symphony」という単語がいくつか目につくことに気づく。 Symphony とは Lotus
Symphony のことで、IBMによるOSSのオフィスソフトウェアである。
オフィススイートのコア部分をOpenOffice.orgに依っているというもので、当然ながら技術的に共通部分が多い。
IBMによる、「Symphonyではこうした」、「Symphonyでこうしてみた」、といった発表がいくつかあり、まあもともとOpenOffice.orgの派生物と考えられるのでOOoConで発表するのは妥当かもしれないが、何となく釈然としないものを感じたのは何故だろう?

OOoCon 2009で見つけた変なモノ

さて最後に会場で見つけた変なモノを紹介して終わりにしよう。 その名もOpenOfficeMouse。
マウスからボタンを消してしまおうという動きがある一方で、こちらはマウスに18個ものボタンとジョイスティックを付けてしまったというキワモノだ。

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18個もボタンがあるOpenOfficeMouse
(出典:同製品に関するプレスリリース資料)

このマウスについては先週、様々なオンラインニュースで報じられ、/.Jでも話題になっていたので興味のある方はそちらも参照されたい。
簡単に説明すると、各ボタンにコマンドを割り当てることができ、それらを最大限に活用することで作業の効率化を目指そうというデバイスである。
発表によれば、もともとゲーム(RPG)のコマンド入力を簡単にしようという発想で作られたもので、その他のアプリケーションでも使えることを示すためにOpenOffice.orgも対象としたとのこと。

なお作者にいろいろと聞いてみたところ、11月6日に大々的にプレスリリースしたはよいが、その名前にクレームが付いたため名前の変更を強いられていると嘆いていた。
もっとも本人は「OpenOffice.orgのチームがこのマウスも開発したんだと誤解されかねないし、OpenOffice.orgだけに使えるという誤解も与えかねないから、変えるべきだよね」と、名前を変えることには納得している様子。
イタリアでの発表が極東の日本でも騒がれたことをみても、「OpenOfficeMouseという印象的な名前を付けて、それをOOoConで発表することによってその存在をアピールする」という彼の作戦はうまくいったといえるだろう。

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発表が終わると人だかりができていた。皆こういうの好きですね (写真: 飯尾
淳)

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