モバイル課金プラットフォームビジネスの行方

広告モデル全盛の中、ポイントをはじめ、利用者からお金を集める、つまり、消費者に対する課金サービスを提供するプラットフォームを実現するのは簡単ではない。コンテンツ配信と合わせた仕組みが注目されている。

課金プラットフォームビジネスとは

課金プラットフォームとは、利用者と実際に商品やサービスを提供する事業者の間に入って、利用者から料金を徴収して、事業者に対して支払いをするためのシステムである。課金プラットフォームとして最も普及しているシステムは、クレジットカードである。国内だけでも3億枚を超えるクレジットカードが発行されている。あらかじめ、利用者の信用リスクを算出した上で利用できる金額を定めており、その範囲であれば、利用者が実際に取引を行なう店は直接お金を徴収せずに、商品やサービスを渡している。課金プラットフォームの利用料として、利用者の決済金額に対して数%の手数料を徴収している。そのため、利用者全体の決済額を増やすことがビジネス拡大につながるものの、昨今の経済状況から徴収できないリスクが拡大してしまう恐れもある。

通信サービスの課金

近年課金プラットフォームとして伸びているのが、携帯電話事業者によるコンテンツ提供者向け料金回収代行サービスである。通信料金が月額料金制の後払いであるため、追加サービス分を回収する方法が取りやすい。そのため、音楽やゲームなどの様々なコンテンツや各種有料サービスに対する課金システムとして利用されている。その一方では、提供者側からは簡単に課金サービスが利用できないなど問題もある。具体的には、通信事業者が認定する公式サイトになることや携帯電話の端末IDを送信する機能が必要だったり、月額で利用料を支払う必要があるなど、垂直統合型の課金プラットフォームとして批判されることもある。

しかしながら、iPhone/iPod Touchに対応したAppStoreや Android対応の Android
Market
など、各スマートフォン用の課金プラットフォームが現れている。利用者が端末を利用してソフトウェアやコンテンツを購入する際には、手数料として決済額の30%を引いて、コンテンツあるいはアプリケーション提供者に支払いをしている。これは、国内の通信事業者による垂直統合モデルを参考にしたと考えられている。海外では通信事業者ではなく、サービス提供者自身が行なっているため、国内の通信事業者の料金回収代行よりも手数料が高額になっている。

自社で運営することでコンテンツやプログラムを保護・管理するためのDRMもかけやすいという利点もある。一方では、課金プラットフォームの運営にはかなりのコストもかかるため、ある程度の規模が必要である。そのため、端末をグローバルに供給する事業者が同じようにコンテンツをグローバルに販売する仕組みになっている。成功しているとは言いにくいものの、iモードを海外展開しようとしたNTTドコモも課金システムを広げようとしたものと考えられる。販売チャネルとしてのブランド力の差が一因と考えられる。

課金ビジネスの難しさ

一方で、課金プラットフォーム運用には難しい面もある。例えば、ECサイトでは、一般的に共通に運営するオンラインショッピングのシステムを利用して、利用者に対して課金する。これは取引額に応じて、加盟店に対して手数料を課金しているためである。加盟店にとっては利用者の決済情報については取り扱わずに済むという利点もある。しかしながら、システムで管理されている利用者の決済情報を個々の加盟店に提供していたという報道もあり、課金プラットフォームにおける個人情報管理の難しさもある。

また、JR東日本や私鉄各社が発行するSuica・PASMOの利用が、1日当りの150万件に達して年率50%の伸びている一方で、一部の企業が発行する電子マネーに関しても、発行枚数が業界で最も多いものの利用が伸びずに苦労しているケースもある。全体の利用額が伸びないと手数料収入が増えずに、プラットフォームを維持する費用が負担できないことになる。

課金プラットフォームは、通信やサービスに合わせて用意されているものの、決済額に比例した手数料が売上になるため、ビジネスの拡大には決済額の増加が必要不可欠である。プラットフォームが成り立つためには、利用できる商品やチャネルを増やすことで使い勝手をよくすること、利用者からの信頼を得る仕組みが必要である。

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