ちょっと前の技術が受けるワケ

見過ごされてきた技術の躍進

コンピュータの発展は常に新しい技術を開発して、より速く、より多く、より小さく、常に進化することで支えられてきた。技術革新、市場原理、ニーズとシーズのバランスによって試行錯誤して新たな技術はそれまでのものを淘汰して絶えず進化を続けてきた。ムーアの法則やファンの法則に示される成長率である。現在では様々な要因(物理的限界、開発費の肥大化、経済危機・・・)によりその成長のペースは鈍化してきていると言われている。ただ、今までがあまりにも急激な成長だった、とも言えるだろう。

しかし、最近奇妙な現象がPCの世界では起きている。なかなか花開かなかったものが急に認められるようになったり、技術(規格)としては前から存在していてマイナーでどちらかと言えば泣かず飛ばずだったものが、一躍注目を浴びるようになってきた。新しいもののほうが良い、というわけではない例が目立ってきた。

復活を遂げた技術・規格たち

今後の普及が期待されているSSDは、現在2.5インチサイズと称される規格のものが主流である。2.5インチストレージ規格は主にノートPC搭載用途であったが、1.8インチや1インチ(マイクロドライブ)などの規格もでき、規格自体の存在意義が問われた時期もあった。2.5インチはこれまでも3.5インチをいずれ置き換えるだろうと言われつつもなかなか主流にはなれていなかった。しかし、最近ではSSDの躍進のみならず、ディスクアレイ、ブレードサーバに搭載されるストレージも2.5インチが主流である。3.5インチHDDの伸び悩み、低発熱・低消費電力・小型大容量ストレージのニーズ、SSDの登場などが2.5インチサイズの普及を強く推進している。

PCのマザーボードの規格にも見事カムバックを果たしているものがある。2001年にVIAが提唱したMini-ITX規格は、ATX、MicroATXについで多くの製品が流通している。ATXの次世代を担うとされたBTX規格が普及に失敗しほぼ姿を消し、Mini-ITXも一時は数種類しか市場に出回っていなかった。MicroATXより小さいマザーボード規格はMini-ITXの他にもnano-ITX、pico-ITX、flexATX、picoBTX、mini-DTXなどがどんぐりの背比べであったが、Intel Atomプロセッサの成功、SFF(Small Form
Factor:小型筐体)の世界的な普及、ATXとの互換性などの要素がからみMini-ITXが小型PC用マザーボード規格として頭角を現すようになった。

復活でないが、後継OSが提供されているのにも関わらず今でもWindows
XP
が高い人気を誇っていて、需要も高い現象はこれまでにはないものである。今年4/14にメインストリームサポートを終了しているにも関わらず、未だに入手可能である。この背景にはネットブックやネットトップの流行があり、これらに付属するOSとしては2010年6月30日まで提供が継続される。Windows
Vistaも高性能なハードウェア上ではXPよりもパフォーマンスは上であると言われていて、これまではハードウェアとソフトウェアの機能向上・性能向上のポジティブスパイラルがうまく回っていた。この循環に逆行したネットブック・ネットトップの大きな流れはMicrosoftをも動かしたのである。

技術の宝庫

これからも新たな技術・規格は引き続き提案・検討されていく。ただ、既存の技術・規格については廃れさせるだけではもったいなく、まだ有用なものが多く存在している可能性がある。これまでただひたすら前進してきたが、実は足元に効果的なソリューションが眠っているかもしれない。上の例を見ているとそう思えてならない。技術の進化が鈍ってきたので既存技術が延命されているのではなく、環境の変化により違う芽が育ってきたと見たほうがよさそうだ。

日本のメーカーは海外からの超低価格ネットブック、ネットトップに押され気味である。最近になり日本製ネットブックが出揃いつつあるが、時すでに遅し、の感が強い。しかしその中でもSharpのMebius光センサー液晶バッドという新技術と電子辞書アプリやタッチ操作や手書き文字認識などのPDAのノウハウを組み合わせているところに注目したい。既存技術をうまく活用できていて、その他の多くの製品との差別化ができている。

このように、新しいものとこれまでのものをうまく組み合わせ、多様性を保つことで環境の変化に適応していける。もっと使える技術がまだまだある。もしかしたらこれから磁気テープメディアが見直され、ストレージメディアの主流に・・・
さすがにこれはないか。

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