地デジへの移行時期が近づいていることもあり、大型の液晶テレビが売れている。昨今の経済状況の悪化があり、売れ行きが鈍っていると言われてものの、大幅に安価になっていることもあり、前年を上回る売れ行きだ。
あふれる液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは大型のテレビだけではなく、携帯電話やPCのモニタにも使われ、もはや一人で複数のディスプレイを持っているのが当たり前だ。あまり認識していないものの、携帯電話に限らず、オーディオプレイヤ、デジタルカメラ、カーナビゲーションなど、小型の液晶パネルがさまざまな分野で使われている。さらに、消費者向けの製品以外にも、自動販売機やパチンコなど消費者が接する機器にも使われている。小型パネルでも、年間の出荷枚数は、1億枚を超えている。
広く使われるようになったのは、フラットディスプレイパネル(FDP)が安価で入手できるようになったことが大きい。液晶ディスプレイ市場は、半導体メモリ産業と似ており、市場における需要供給に影響されやすく、製造コストとは直接的には関係なく価格が決定されることになる。もちろん、高価な大型ディスプレイを多数製造、販売することで、成り立つビジネスである。一方で、数インチ程度の小さなパネルは大きさに比例して安価になってしまうのが現状である。安価な小さなパネルを作る企業と高付加価値の大型パネルを作る企業に分かれている。
そのため、安価な海外で製造された液晶パネルが多数入手できるようになり、安価な製品にも数インチの液晶ディスプレイを持つようになっている。例えば、近年増えているのは、 デジタルフォトフレームや任天堂DSなどの携帯用ゲームだ。改めて、身の回りを見れば多数の液晶ディスプレイがあることに気づくだろう。
屋外でも使われる液晶ディスプレイ
また、液晶ディスプレイに接する機会としては、屋外でも増えている。デジタルサイネージと呼ばれる広告方式である。広告用のポスターや看板等を用意する代わりに、あらかじめ設置したディスプレイを使って見せる方法である。身近なところでは、スーパーマーケットの棚に商品広告用の液晶ディスプレイを付けているのを見ることもあるだろう。さらに、おさいふ携帯(Felica)の機能を使うことで、データを携帯電話に取り込んだり、利用者独自の情報を提供したりすることができるものもある。比較的広い地域の利用として、 東京駅八重洲地下街、神田西口商店街、長崎駅前といった事例がある。
液晶ディスプレイに広告を表示することにより、ポスター印刷などの費用が削減でき、動画等により詳細な情報を提供することで、販促につながるとみられている。まだ実験的なシステムが多いものの、新たな広告チャネルとして注目されている。
不況の今こそ多数のディスプレイ
液晶パネルが極端に安価になっていることから、複数のパネルを使うことも容易になっている。そこで、PCの画面をマルチディスプレイするだけではなく、液晶ディスプレイを壁一面に設置したり、ほとんど開けることない窓の代わりにディスプレイを設置して、ネットワーク越しに、解像度が高いリアルタイムな映像を映してはどうだろうか。例えば、テレワーク環境においてオフィスと常時接続されている環境があれば、仕事がやりやすくなる。
新しい通信サービスが導入されるたびに、テレビ電話やテレビ会議がキラーアプリケーションとして挙げられるものの、普及しているとは言いがたい。もちろん、テレビ電話が流行らない理由を挙げるのは簡単だ。特にプライベート向けに普及するのは容易ではなないにしても、業務用にはもっと流行ってもいいのではないだろうか。他社の設備にはつながらないものもあるなど、テレビ会議は準備が面倒だから敬遠されている場合もある。ディスプレイを常時設置し、接続を簡単にすることで、利用が促進すると考えている。出張費をはじめ、移動にかかる人件費を節約できるメリットもある。不況の今こそ、テレビ電話を使ってみるのはどうだろうか。
本文中のリンク・関連リンク:
- デジタルサイネージの事例
- 液晶ディスプレイの出荷動向(JEITA)