次は3次元地図に期待

Googleストリートビューによって、道路周辺の様子が手に取るようにわかるようになった。プライバシーをめぐる議論は他のメディアに譲るとして、ここではストリートビューの「次」について考えてみたい。

Googleストリートビューの仕組み

まずはじめに、ストリートビューの仕組みを整理しておきたい。道路周囲の風景の撮影には車の上(地上約2.5m)に設置した、360°撮影できるカメラを用いる。撮影車は常に周囲を撮影しながら街中を走り回り、画像を撮影地点の位置情報とともにGoogleのサーバに保存する。

閲覧時には、その地点の画像をサーバから呼び出し、表示する。表示される画像は視線の向きを変えたりズームすることができ、風景を細かく見ることができる。しかし、あくまで撮影地点から撮った360°の全周画像の一部を取り出してズームをしているだけであり、他の視点、たとえば反対車線や歩道、地下鉄の出入り口からの風景を見ることはできない。

ストリートビューとの連携

次にストリートビューの利用例を考えてみると、「道路から撮影した写真」というストリートビューの特徴を踏まえれば、すぐに思いつくのはカーナビとの連携である。現在のカーナビでも市街地の交差点の3次元CGを表示する機能はあるが、実写画像はCGにはない臨場感がある。進路を示す矢印を画像に示せば、よりわかりやすいナビゲーションとなる。

ただし、カーナビと連携する場合には、画像データは携帯電話などの無線通信を介して取得することになる。カーナビに携帯電話を接続している利用者はまだ少数派であることを考えると、ストリートビューとの連携はむしろ携帯電話に搭載された歩行者用ナビシステムに向いているかもしれない。たとえば、市街地の飲食店に行くとき、地図を頼りに近くまで行ってもどのビルなのかすぐにわからないことがある。こんなときに実写画像が見られれば、すぐに目的のビルがわかるに違いない。実際、PC向けのサービスとしては、すでにカカクコムがマンション情報サイトとグルメサイトで、目的のマンションや飲食店の周囲の風景を見られるようにしている。

他にすぐに思いつくのは、テレビゲームの類への応用である。うまく3次元CGと組み合わせれば現実そっくりの市街地コースを走るレースゲームや、実世界に近い「セカンドライフ」を構築できるかもしれない。

究極は3次元地図だが課題は山積

インターネットの地図サービスは、紙の地図を置き換えただけの単なる電子地図に始まり、ルート検索機能、スクロール機能、航空写真表示機能、地図への書き込み機能などが追加されてきた。そして今回はストリートビュー。次はどんなサービスが登場するのだろうか。

最初にも述べたが、ストリートビューはあくまで2次元の全周画像の集合であり、その中の1枚を表示しているに過ぎない。したがって、3次元のテレビゲーム等に応用するにはあらかじめ3次元CGを用意しておき、それにうまく写真を貼り付けなくてはならない。
しかし、はじめから3次元の地図を作ってしまう、という手段もある。

3次元の地図を作るには、車載のカメラをひとつではなくステレオカメラにしたり、カメラの他にレーザレンジスキャナ(測距計)を搭載したり、という手法がある。いずれの手法も一定の成果が出ているが、大きな問題がいくつかある。ひとつはオクルージョンの問題である。オクルージョンとは手前の物体に遮られて奥の物体が見えなくなっている状態のことである。たとえば、建物の外壁が歩道の街路樹によって見えず、3次元モデルに穴が開いてしまうということがある。これは見栄えを大きく損なうため、オクルージョンを(いい意味で)ごまかせるようになるかがポイントである。また、3次元地図の場合には単に画像を蓄積すればよいのではなく、3次元モデルを構築しなくてはならないため、ストリートビューよりもはるかに多くの計算量・データ量が必要になるという問題もある。

そこまでして構築して元は取れるのか、ストリートビューレベルで十分ではないか、という意見もあろう。景観シミュレーションや災害シミュレーション、GISとの融合など、3次元地図の活用例はいくつも挙げられているが、構築のコストをカバーできるほどなのか、と問われると即答できない。しかし、個人的には2次元が3次元になる効果は非常に大きいと考えている。現時点では優れたビジネスモデルは無いかもしれない。しかし、これまで次々に新しい便利な地図サービスが提供されてきたことを考えると、3次元地図が現実のものになる頃にはきっと良いビジネスモデルが発見されるに違いない。