iPhoneから始まるケータイ 2.0時代

iPhoneの成功

日本では発売されていないが、米国において大好評で、先週英国ドイツで販売開始で大騒ぎとなり、そして近い将来フランスで販売開始となるであろうiPhoneが、販売開始から74日間(2007/6/29〜9/10)で100万台を出荷し、ケータイ、しかもそれほど台数が見込めないスマートフォンとしては空前の大ヒット商品となっている。日本でも電話機能の省略されたiPod
touch
が入手可能で、iPhoneが爆発的に売れている理由である多機能性、これまでになかった操作性を実感することができる。

革新的なマルチタッチディスプレイやユーザインターフェースは各種メディアで大いに取り上げられ、高く評価されているが、筆者が驚いたのは限りなく薄く小型の筐体(iPod
touchは厚さ8ミリ、iPhoneは11.6ミリ)にOS
Xが搭載されているということ。そしてそれがストレスなく動作していること。ブラウザにはSafariが搭載されておりWebブラウザとしての不足はなく、PCのスケジューラと同期をとることができ、IMAP4にも対応したメール機能、そして無線LAN対応。これはもう立派な超小型PCである。

iPhoneが優れたスマートフォンだからこれがケータイ 2.0である、というつもりはない。Apple CEO、Steve
Jobsによる衝撃的な発表が今年10月17日にあり、その内容が革新的だったのである。iPhoneやiPod
touchに対してサードパーティによるアプリケーション開発環境を開放すると言うものである。

iPhoneと言う優れたプラットフォーム上で創意工夫に富んだ様々なアプリケーションが提供される、ビジネス用途にも十分通用するPDAアプリやオフィススイートが登場する、これまでにないネットワーク機能やインターフェースを持ったゲームが開発される・・・
これからの発展性を考えただけでも嬉しくなる。

Googleの挑戦

ケータイ 2.0のもうひとつの話題はGoogleによるケータイOS市場への参入である。Googleの新OSはAndroidという携帯電話向けのOS、ミドルウェアをひとつのパッケージにしたもので、Linuxベースのオープンプラットフォームであるという。Open Handset
Alliance
(OHA)という、Androidを普及させるための団体も発足しており、NTTドコモ、KDDIが参加しているところが気になるところである。

これまでは各携帯電話キャリアが携帯電話機器メーカと共同で新機能・新サービスを矢継ぎ早に開発してきており、なんとかユーザの興味を引き続けてきた。それを汎用OSやソフトウェアに切り替えると、これまでの開発ペース、多機能性が損なわれる懸念がある。ケータイ端末の多種多様性がこれまでのケータイの魅力であったことは否めない。

でも、ここにおいてもサードパーティによるアプリケーション開発をオープンにするならば、状況は一変する。ケータイが備える機能をユーザが選択することが可能になる。シンプルな機能に限定したり、詰め込めるだけ機能を詰め込むことも可能になる。自分の好きなメールアプリに変更することも可能になるかもしれない。待ち受け画面、着メロ以上のカスタマイズ性がユーザの所有欲をくすぐるであろう。

ケータイの新たな定義

ケータイ
2.0とは、これまでケータイ=携帯電話だったものがケータイ=携帯型超多機能デバイスへと進化することと定義することができる。まだ現在のケータイは電子マネー、GPSなどの機能で勝っているが、これからのケータイ
2.0が持つ自由度、発展性には大いに期待が持てる。サードパーティやユーザによるアプリケーション自体のカスタマイズが新たな可能性を生み出すだろう。

ケータイ
2.0にも課題はある。まずはオープンで汎用的なケータイプラットフォームの普及ができるかどうか。そして、不正利用、ウィルス、システム全体の安定性(アプリ間の干渉など)に対して何らかの策を講じていかなければならないだろう。これら制限事項とオープン性の程よいバランスを探る必要がある。

オープン戦略には大きな英断が必要であり、実行に移すには更なる努力が必要だろう。でも、後には大きな実りが待ち受けている。国内のケータイ事業が飽和しつつあると言われている昨今であるが、もう一度ケータイブームが到来しそうな雰囲気である。