国産ガジェットへの期待

SideShow

数あるWindows Vistaに搭載された新機能の一つに、SideShowがある。ケータイで言うところのサブディスプレイのように、小型のディスプレイをPCに接続できるようにし、メインディスプレイの補助的な役割を与えることができる。主にノートPCでの利用を考慮し、PCが起動している間にSideShowデバイスに情報を転送しておき、起動していないときに未読メールやスケジュールのようにぱっと見たい情報を見ることができる。

あるいは、iPodのような音楽デバイスをSideShowに対応させることにより、PCと接続している間に音楽データをシンクロ+充電させて、外出するときにアンドックして音楽を楽しむことができる。もっとシンプルな使い方としては、PC内の画像や動画データを表示するビューアなども想定されている。

SideShowはVistaにインストールするSideShowガジェット(ソフトウェア)とそれを利用するSideShowデバイス(ハードウェア)が連携して機能する。SideShowデバイスの仕様は比較的緩やかであり、ディスプレイが本体から分離できるDetachableか埋め込み型のAttachedが選択でき、USB、Bluetooth、Wi-Fi(無線LAN)などの接続形態があり、ディスプレイ解像度も自由で、文字情報のみのディスプレイも許容されている。基本的には表示デバイスであり、PCが起動しているときに情報をデバイス側に渡して表示するものであるが、特にDetachable Displayではそれ自体が電子デバイス(PDAとか、ケータイなど)として機能できることを想定している。

海外先行のデバイス開発

すでに商品化されているものとしては、Logitech(日本ではロジクール)からはG15 Gaming Keyboardが発売されている。基本的にはキーボードであるが、小型LCDがついており、PCから送られてくる情報を表示することができる。ゲーム中に補助的な情報(残弾数など)が表示されるようである。

Asusからは典型的ともいえるSideShowデバイス付きのノートPC W5Feが発売されてる。ノートPCの蓋の部分の表側に2.8インチ液晶デバイスを埋め込んであり、ちょうど二つ折りケータイの大型版のようである。ノートPCにインストールされているWindows Vista上のSideShowガジェットと連携して、PCがオフの状態でもバッテリ残量、スケジュールなどが確認できるようになっている。

また、Asusは自作PC市場にもSideShowデバイスを供給しており、同社のマザーボード製品にはScreenDUOと呼ばれる2.4インチ液晶デバイスが付属する。デスクトップPC用のSideShowデバイスの用途はいまだはっきりしていないが、Vista上のSideShowガジェット次第で機能は拡張可能であり、もしかするとデスクトップPCでもSideShowデバイスが付属するのは当たり前になるのかもしれない。

日本の得意分野、のはず

さて、これまで紹介してきた製品はすべて海外のもの。この手のガジェット物は日本のお家芸だったはず。どうしてしまったのであろうか。どうも日本のメーカーは独自の努力で、単体で機能する小型デバイスを開発するのは得意だが、何か他のものと連携するものを作るのは苦手らしい。iPodのiTunesとの連携によって足元をすくわれてしまったのが好例で、SideShowデバイス開発の出足の鈍さでも露呈してしまっている。

しかし、iPodでの教訓を生かすべく、国産SideShowガジェットおよびデバイスの開発に是非ともがんばって欲しい。例えば、ケータイがSideShowデバイスとして接続できて、気の利いたSideShowガジェットが提供されるようになったら便利ではなかろうか。ニンテンドウDSやPSPなどがSideShowデバイスになったらゲーム機以上の使い方ができるだろう。WalkmanもSideShow化すればiPodに追随できるかもしれない。

まだ発売されて日も経っていないのでこれからに期待するわけだが、なんとか停滞気味の国産ガジェットたちに頑張ってもらいたいものだ。