仮想通貨を制するのは誰か

今週から首都圏の私鉄やバスでもICカード(PASMO)が使えるようになった。 Suicaとシステムも決済システムを共用しているので、相互利用可能だ。 これまでパスネットを使っていたことを考えればカードが1つ減ることになる。 ところで、手元にあるカードを確認すると、 大手家電量販店のポイントカード、航空会社のマイレージカード、 EdyにSuicaと10枚以上にもなる。 限りなく現金に近いポイントもあるし、自社囲い込み目的のためのポイントもある。 ポイントは他社との相互交換できるようになり、通貨に近い存在になりつつある。 今回はポイント制度や電子マネーの現状から仮想通貨の将来を考えてみる。

多様なポイント制度

本来ポイントは販売時のおまけのようにものであったにもかかわらず、 大手家電量販店のように10%といった高い還元率のところもあり、 実質現金のように扱われるようになった。 一般的には1%相当分が利用者に還元されている。 また、独自に運営していたポイント制度それぞれが、 お互いに一定のレートで交換できるような仕組みが用意されつつある。 大手のポイントシステムは、国内航空会社2社のマイレージ、あるいは、 EdyやSuicaとの相互に交換可能になっているのが一般的である。 また、インターネットサービスの中にもポイントを交換できるサイトもあり、 数段階を経由することで、 交換レートは無視すればほとんどのポイントは交換可能である。 国内でのポイント発行額は現在5000億円以上とも推定されている。 実際企業の財務会計にはポイントの引当金として計上されているケースもある。 例えば、NTTドコモのプレミアムポイントでは数百億円単位で計上している。

販売店の苦悩

電子マネーであるEdy、Suica、iD、QuickPayは、 いずれもFelicaを使ったシステムであり、 ほぼ同じ規格にもかかわらず、リーダーや決済システムがバラバラである。 そのため、販売店にはクレジットカード以外にも、 それぞれの規格に合った機器を用意している。当然その費用は販売店の負担だ。 レジ周辺に占める面積が大きくなりデメリットが大きい。 利用者にとってもレジに行ってみないとどれが使えるのかわからないことが多い。 共通した端末が開発されているものの、先進的に導入している企業にとっては 簡単に入れ替えるというわけにはいかない。 ポイント制度が顧客の囲い込みならないと導入した意味が薄くなってしまう。

利用者に不利な制度

利用者にとってポイント制度は、 本来利用者が現金で割引を得られた分をほぼ無料で現金を提供した上に 個人の購買情報を提供する変わりにポイントを得ていることに他ならない。 一般にはマーケティングに使われているものの、 個人別の情報の取り扱いも現在のところ不明だ。 また、電子マネーにしても国が保証する通貨ではなく、あくまでポイントなので、 運営する企業の都合でいくらでもルールを変えられてしまう。 例えば、他のポイントへの交換するレートや有効期限の変更などはよく聞く話である。 最悪の場合には運営会社が倒産してしまえば、価値は0である。 そうした問題について議論するために、 経済産業省が主催する研究会業界団体が設立されている。

制するのは誰か

今のところ発行枚数の多いEdyやSuicaが一歩進んでいるようだ。 実際、レジや自動改札機での利用している割合はそれなり高い。 今後はカードの形態を持つ電子マネーだけでなく、 個人の電子商取引が増えることで、インターネットでも利用可能な 仮想通貨としての機能を備えたものが増えてくることが予想される。 また、個人間で簡単に交換可能な仕組みが実現して欲しいと願っている。