業務用オープンソースの意義

オープンソースを仕事に使う

各種サーバのOSにLinux、Webサーバにapache、メールサーバにsendmailを業務用に使うことは相当昔から行われている。その他にも、ファイルサーバにsamba、プロキシサーバにsquid、統一webブラウザにfirefox、メールクライアントにthunderbirdを業務用に使っているところもあるだろう。これらはオープンソースソフトウェア(OSS) を業務用途に使っていると言えよう。

OSSを業務用途に使うことは今や当たり前になっているのだが、業務用途を初めから意識したOSSもある。いまだ普及しているとは言いがたいが、オフィス統合アプリケーションとしてのOpenOfficeは初めから業務用途を意識したOSSと言えよう。

業務用OSS

プロジェクトマネジメント用ソフトウェアと言えばMicrosoft Projectを連想する人が多いであろうが、OSSにもdotProjectがある。PHPで書かれたwebアプリケーションであるが、必要な機能は一通り網羅されており、ガントチャートの自動生成、進捗率の一覧などはとても重宝し、筆者も日常業務に使っている。大部分の業務用OSSがそうであるように、開発の主体は英語圏であり、dotProjectも日本語化や日本流の表示のカスタマイズなどは自分なりに情報収集したり、試行錯誤が必要になる。

その他にも、ERPの分野においてはCompiere、CRMにSugarCRMSalesLabor、ECサイト構築にosCommerce、グループウェアにeGroupWare、など、オープンソースは業務のコアとなる部分についても進出しており、十分その実用性は検証されてきており、実績も蓄えられてきているようである。

業務分野に限定したソフトウェアの場合、商用ソフトがすでに圧倒的なシェアを獲得しており、ユーザが限定されることからオープンソースコミュニティが育ちにくいと思われていた。しかし最近になり、ソフトウェアベンダによる相次ぐオープンソース化が発表され、にわかに活性化している。

集団知を利用せよ

OSSの導入によるコスト削減はもちろんのこと、最近のwebアプリはPHPなどのスクリプト言語を用いて作成されているため、カスタマイズは以前と比較して容易になっているので、導入の障壁は格段に下がっている。それより、見た目、細かい操作性などのカスタマイズが容易になっているので、個々の業務に容易に適用できることが何よりも便利である。

しかし、OSS導入の利点はそれだけではない。OSSは、これまでの商用ソフトと違ってある特定企業の思惑のみによって作成されたソフトウェアではないのである。コミュニティによって熟成されたソフトウェアは集団知の宝庫なのである。機能の取捨選択、使い勝手、機能間の連携などはマジョリティによって決定されるので、多くの知見がその中には含まれているのである。一見不要と思われる機能も、使っていくとその意味が分かってくる場合がある。一見使いづらい機能であっても、その裏には大事なポリシーが貫かれていることもある。そうやって蓄積されている集団知を利用していくことも、OSSを使っていく上での重要なポイントである。

もちろん、使っていくだけではなく、バグ報告、パッチの提出、新機能の提案を行いコミュニティに参加し還元することで、より有効に活用できるようになる。ビジネスの分野においても「助け合い」の精神が広まることを願うばかりである。