一人一台
学生ならば、ケータイの次に持っているのが当たり前のように普及しているのが電子辞書である。少なくとも一家に一台は売れているのではないだろうか。ちなみにここでいう電子辞書とは、ROMに多くの辞書を格納した小型の液晶とキーボードを備えた一体型の小型端末に限ることとする。
従来からCD-ROMで提供された辞書ソフトを再生する電子ブックプレーヤなどはあったが、やはり最近の小型、軽量、高速化、低価格化が爆発的な普及を後押ししていることは確かである。電気量販店の売り場面積だけ見ても電子辞書の市場規模を推し量ることができると言うものである。
何が優れているのか
ここまで電子辞書が普及した理由はいくつかあるだろう。学生にとってみれば国語辞典、英和和英辞典を常に携帯できることは大いなる魅力である。簡単な電卓機能も備えているとなればなおさらである。文字、特に画数の多い漢字を大きく表示できることから、高齢者層にも電子辞書は広まっている。また、多国語対応と音声出力機能が海外旅行者に好評であるようだ。
ニーズが高かったことは確かであるが、やはり携帯端末としては大型の液晶とキーボードを備えた小型軽量化が魅力の大部分ではないだろうか。マウスやポインタが使えない割には操作性は悪くなく、レスポンスもクイックである。最近ではカラー液晶を備え、マルチメディア対応のものも出てきているようである。
この上でWindowsが動けば、と誰もが思うであろう。せめてWindows Mobileや軽量なLinuxなどが搭載されれば立派な「コンピュータ」になるのだが。
電子辞書たるゆえん
電子辞書を支える小型端末は辞書機能に特化することにより快適なレスポンスを確保したので、汎用OSを積み、汎用アプリケーションをサポートしようとすればザウルス、VAIO type UやUltra-Mobile PCのような端末になってしまい、手軽にテキパキ使えるという最大の利点が台無しになってしまう。PDAが廃れてしまったように、汎用的な小型端末はこれからも流行らないのだろうか。
今後とも電子辞書は進化を続けるだろう。専門用語辞書の増加、検索方法の多様化など、辞書機能の強化もさることながら、ハードウェアも着実に進化していく。より小型で高性能なモバイルCPU、安価・高速・大容量ROM、高精細カラー液晶などが順次投入されてくるだろう。それに伴い、通信機能が装備されるようになれば「コンピュータ」らしくなってくる。
電子辞書の範疇を超えてくるが、通信機能が備わればメールやブラウザが使えるようになると便利だろうし、スケジューラ、電子文書ビューアなど、よりパソコンらしい機能が実装されるかもしれない。Bluetooth経由でケータイを使った通信ならさほど難しい話ではないはずである。もう少し”楽しい”機能が備わったら面白そうなガジェットに進化する予感がする。