Webやメディア作品の動体保存

サイバー日本館

が、今年3月25日をもって終了する。 昨年開催された愛・地球博でのインターネット上の政府館パビリオンとして制作、 一昨年3月25日から2年間にわたり運営してきたものだ。

データベースを駆使して動的に動くコンテンツもいろいろ実現した。 リピートアクセスのための仕掛け、 「じぞくかのうな少年少女団」とWebポイント「アクションポイント」。 ネットワークスペースとリアルスペース、事前アクセスから来館そして事後アクセスをつなぐ仕掛け、 「どこでもニッポンカン」。 知識同士をつないでいく仕掛け、 「つながりカード」など。

期間中はたくさんのご声援や貴重なご意見を頂き、充実した時間を過ごさせて頂いた。 閉幕時には、是非そのままに残してください、という嬉しい声を多数頂いたが、 残念ながら、サーバの手配や著作権をクリアにするなど、 サイトを持続させるためのすべての条件を整えるのは大変困難であった。 画面の静止画保存、高精細動画(HDV)による撮影、データの記憶メディア保存の準備をしているが、 将来動体再生できる環境が整えられる保証はない。

いまのほとんどのblogとそのトラックバック機能も、 きっと流れて消えていく運命にあるだろうが、 本体ページは定期的に100年プリント製本されて送られてくるといった 逆転発想的なサービスが結構受けるのかもしれない。


地球の部屋

は、やはり愛・地球博の 長久手日本館の中に作られた世界初の全天球型映像シアターだ。 これについてもサイバー日本館内で紹介しているが、 そもそも球体の内側につなぎ目なく映像が映し出される空間に入るという まったく未体験の感覚を、Webサイトの小さなパソコン画面で伝えられるわけがなく、 「とにかく見てください」というしかなかった。 しかし、これも昨年9月25日の閉幕と同時に見られなくなってしまい、 しかもこの記事に多数リンクを張っているサイバー日本館もあと1ヶ月で リンク切れエラーとなってしまう。これは困った。

しかし先日、東京・上野の国立科学博物館に「地球の部屋」が移設され、 今秋頃から展示公開されることが正式に決定した。 より多くの方に、地球の部屋の圧倒的な表現力による「地球」のすばらしさを体験して頂きたい。

もし次代に残すべきWebサイトやメディア作品があったとしても、 将来博物館や図書館で見せることもなかなかに難しい。 技術進展のあまりの「速さ」が引き起こしている問題もあるだろう。 常に新しいITを考える者として複雑な心境だ。


実はこの記事をもって、このコラムへの定期執筆をしばらくお休みさせて頂くことになった。 私がここで初めて書いた記事は、この「地球の部屋」の前身となった 全天周型映像シアターについてであった。これは、すでに神戸市立青少年科学館、 宮崎科学技術館、東京都中央区タイムドーム明石など数箇所で稼動している。

当時、五藤光学研究所の方々との意見交換の中で、全天球型についても夢を語り合ったが、 それすらすでに実現してしまった。コラム名どおり、Take IT Easy、思っていればきっとできるさ!



参照

サイバー日本館
(※本サイトは2006年3月25日をもって終了予定です)

MRI TODAY記事
「じぞくかのうな少年少女団が世界を変える日 」

サイバー日本館
「よくあるご質問 FAQ どこでもニッポンカンとは」

サイバー日本館
「つながりカード」プレーヤ

サイバー日本館
「展示の見どころ 長久手日本館」
(※記事ページのフッタ部分に「つながりシール」が自動貼付)