進まない健康データの情報管理

健康ブームは止まるところを知らないようである。 健康食品やサプリメントは数知れず、
健康を謳い文句にした清涼飲料もますます増えている。 そして健康分野にもやっと情報化の波が訪れてきた。

フィットネスクラブの健康管理サービス

一部の大手フィットネスクラブでは、個人のトレーニング履歴管理をシステム化した。 マシンで消費したカロリーをデータベースに蓄積し、
会員への健康管理サービス に用いるといった試みを始めている。 これをネットワーク経由で利用できるようにして、
クラブ内のみならず、家庭や外出先で万歩計などとも連動させるようなかたちで、
会員が健康管理を行えるようにしている。このような運動の履歴のデータに、
身長、体重、体脂肪率、筋肉量などのカラダの情報も含めた健康データを
知識・経験の豊富なパーソナルトレーナーなどが活用して、会員に対して個々に
アドバイスを行うような仕組みは健康管理に対して非常に効果的なサービスであるし、 今後需要も増えてくることが予想される。

温泉療養の健康管理

日本では古来から温泉療養というものが行われてきた。 近年、これが再び注目を集めつつある。
温泉地というリゾート地での運動(ハイキングやウォーキングなど)
に適切な食事、現実社会を忘れさせる自然環境、さらに温泉そのものが持つ医学的な
効果が加わって、健康管理に適した場所として注目されている。

ここで、運動、食事さらには医学的な温泉のデータをデータベース上に蓄積して様々
なサービスを提供できれば、温泉地の選択から滞在中の効果的な療養まで様々な サービスが実現できるであろう。さらに、
これと前述のフィットネスクラブでのデータを組み合わせることができれば、
日常生活での健康管理のデータも含まれるので、より一層の効果が期待できる。

情報の利活用は対象外の医療情報管理ガイドライン

このように健康データの取り扱いが今後増えてくると、 個人情報の取り扱いがどのように行われているか気になってくる。
しかし、残念ながら、現在は健康データの取り扱いに関するガイドラインは存在しない。
法的な規制がかからない状況では、なかなか安心してデータを預けられないであろう。
これは、医療データのガイドラインの整備がまだまだ完全ではないことが影響している。

今年の3月に厚生労働省から「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が出され、
電子化された医療データに対する技術面・運用面での対策が示された。しかし、
このガイドラインは医療データ(正確には診療録等のデータを指す)の保存に関する
ガイドラインであって、蓄積された医療データの利活用に対しては言及されていない。
すなわち、蓄積した医療データを活用して提供するサービスについてのガイドラインは 存在しないのが現状である。

医療分野でのデータの利活用に関するガイドラインがまだ整備されていないのは、
その作成にかなりの労力が必要とされることが一つの要因であるが、それだけでは
なく、産学官および医師のそれぞれの立場と思惑が一致しないことも影響している。

健康データの情報管理ガイドラインの整備を

健康データは蓄積よりも利活用サービスに価値があるものなので、 親分的な存在の医療分野のガイドラインが整備されていない状況では、
なかなか健康データの利活用に対する標準化は進まないというのが実態であろう。

しかし、ガイドライン等の整備が進まなくても、 徐々に健康データの活用サービスは広がり始めている。
高齢化社会を迎え、健康管理がこれまで以上に脚光を浴びると予想される。
医療費の削減のためにも、病気にならないための各種健康管理サービスの重要性はより一層増してくる。

健康管理のIT化の流れは、サービスの質的向上に避けては通れない。 大変であることは重々承知しているが、
医療分野も含めて診療データや健康データの利活用についての
ガイドライン等の整備、さらには基盤環境の整備が今後進むことを期待したい。