Web時代の図書館の役割

景気低迷による自治体の収入減等の影響により、図書館にも経費削減が求められるようになってきている。
このような状況下で、図書館は、本屋、古本屋、レンタルビデオ店とは一線を画した
市民へのサービスを提供する必要に迫られてきている。

図書館の生き残りをかけたビジネス支援

図書館がその存在意義を模索ししているなか、 米国の図書館では単に本の貸出だけでなく、ビジネス支援が行われていることが紹介された。
これをきっかけに、浦安市立図書館などが、従来の図書館の機能に起業支援などの新たなサービスを加え、
ビジネス支援サービスとして利用者にアピールした。 これは、商工会議所と連携して、起業セミナーや相談会を実施したり、
ビジネス関連の資料を一箇所に充実させたり、ビジネス関連のレファレンスを 受け付けるといった内容である。
企業人のみならず、農業や漁業をしている人をはじめ、自営業、起業希望者、就職活動をしている人、
アルバイトやパートタイマーの主婦なども対象とする。 商工会議所より身近な文化施設という間口の広さと、
レファレンスの一環ということを売りにした活動である。 ビジネス支援のツールとして、新聞記事の全文検索、特許情報の検索などがある。
ビジネス支援を行う図書館のレファレンスは、図書館にある書籍のレファレンスから、
ビジネスに係わる情報(法律、特許等も含む)に拡張されている。

米国の図書館は、電話で問い合わせると株価情報を教えてくれるところもあるという。
これは図書館が情報政策の一部に位置づけられ、日本の数倍の予算がついているからできるということもある。
日本の図書館はそこまではいかないが、土日も開いている公共機関という役割は期待できる。
これは、例えば、市区役所や、商工会議所が出している様々な資料を揃え、情報公開を行うという役割である。

市全体でのリクエスト対応

学校図書館では、「授業で使いたいこんな資料を探しています」といった要望がよくあるという。
総合的な学習の時間の導入で、図書館の役割に注目が集まっているが、 司書が一人しかいない学校図書館の活動には限界がある。
こうしたレファレンスに答えるために、 千葉県市川市では、市内全校の学校図書館及び中央図書館のこども図書館、
市教育センターの担当者が1つのメーリングリストを共有している。
このMLには、授業に使いたい資料の「リクエスト」が毎日のように届くという。
リクエストを見た担当者は、自分の図書館にある資料のうち役に立ちそうなものを、 その学校に貸し出すしくみとなっている。
1つの学校だけでは不足する資料を市内の公共図書館や市内の小中高校・幼稚園の図書館が
互いに融通しあう仕組みで、市内全体がひとつの図書館のように機能している。

Web時代の図書館

浦安図書館の活動をまとめた本「浦安図書館にできること」には、以下のような記述がある。
「インターネットが発達すると本がなくなる、と真しやかに伝えられたことがあった。
しかしながら、現在では立花隆氏などの発言にみられるように、 電子メディアによる情報収集の限界が指摘され、印刷媒体の有用性に対する
再評価が行われている。 ・・・最も効率的な情報収集の方法は、電子メディアと印刷媒体の双方を組み合わせて 利用することである。」
インターネット上の情報は、書籍より新らしく、一部専門的なものは 書籍では入手できないものがある一方、
情報が断片的であったり、信頼度や密度が低かったり、何より 検索エンジンではヒットしすぎたりする。
この意味で、書籍とインターネットの情報は相補的である。

これは、多くの方が同意できる意見であろう。 このために、図書館は、図書とWebを含む電子メディアの双方を扱い、
司書は、双方のナビゲートをするという役割が必要になってくる。 しかし、ビジネス情報や、Webも相手にするとなると、資料検索だけでなく、
あらゆる専門的な知識が要求される。 こうなると、学校図書館と同様に、1図書館、1市では、限界がある。
1つの解決策は、図書資料では、国会図書館で実施されている レファレンス協同データベース実験事業
のような仕組みを、ビジネス情報や、Webへのレファレンスも加味して、本格運用することである。
また、図書館レファレンス専用の全国的なMLを開設する、 大学、公的機関を含む Q&Aサイト:k-スクウェア
のような仕組みで外部の知恵を借りるもの1つの手であろう。 但し、業務としてレファレンスを提供する限りは、
Googleでもない、Yahooでもない、k-スクウェアでもない、 なんらかの図書館界的な検索スキームが必要になってくると思われる。
もちろんこのような手段が難なくこなせる人にとっては どうということのないサービスかもしれないが
情報弱者に対する配慮を行うのが公的機関の役割と考える。