が4月16日にオープンした。先日一足先に内覧会に行った。大小の円が接した斬新な建築。 薄い鉄板で仕切られたそれぞれ異なった趣の円筒空間が連続した館内は、 有効面積よりもとても広く感じられた。 円筒のギャラリーの壁面に、星野富弘さんの描くやわらかい草花が佇んでいる。 ミュージアムショップや講座室、カフェなどへも、空間感覚が途切れることなく その場に合った意識に自然に切り替わる。
4年前、ある大学施設
構築コンペの共同提案者として、建築家 ヨコミゾマコト氏がこの「サークル・プランニング」を生み出す瞬間に立ち会った。 円は、それにやわらかさを求めたのではなく、 異質で複雑な関係性・連絡性(ネットワーキング)を持つ空間構成を より柔軟に許し得る力強い建築プログラムを探して行き着いたひとつの解であった。 そして、「しゃぼん玉」が積み重なったり消えたりすると 即座に安定した形に変えていく姿を重ね合わせて、 誰もが見たことがないゴールイメージを、とてもシンプルに説明してくれた。
富弘美術館の設計コンペは、住民参加型の手作りコンペであった。 だかしかし、県内初で国際コンペ、しかも1,211件という世界一の応募件数となった。 そして公開審査によりヨコミゾ案が見事最優秀。 施工業者選定もまた、単に価格競争入札ではなく、信頼できる業者を 住民参加によって選んでいくという画期的なものであった。
ますます自己最適化
していくことが求められる図書館やミュージアムなどの教育文化施設。 このような可能性をもった新しい建築プランと、 プロジェクト型の自己評価機能を備えた運営の仕組み(組織とシステム)の組み合せが必要だ。
当社でも機を同じくして 指定管理者制度などに対応した、 利用者評価(満足度)を活用した自己評価可能な施設運営モニタリングシステムの実証実験を開始した。 たとえば、利用者はパソコンや携帯電話から投票や意見を送ることができ、集計結果を閲覧できる。
「使い方を強要しない自由で主体的な活動のためのフリースペース」(ヨコミゾ氏) を活かしきることができるような情報デザインも求められている。
参照
指定管理者制度を通じた官民連携のための
パブリックビジネス研究会