ノートPCの液晶ディスプレイを考える

デスクトップPC用の液晶ディスプレイ(LCD)において、 現在の主流の大きさは15インチまたは17インチと言える。 私自身も会社と自宅の双方で17インチのLCDを使っている。 15インチであればXGA(1024×768ドット)、 17インチであればSXGA(1280×1024ドット)の表示解像度に対応した機種が多いのだが、 最近はSXGAでも不満に思うようになってきた。

液晶パネルをデスクトップ用に使う

というのも、最近のWebページはデザインを重視するあまり、 スタイルシートを使ってSVGA(800×600)のウィンドウ・サイズを前提に 作られている場合が多いからである。 (しかもフォントの大きさも固定となっていて、ブラウザ側で大きくできない場合もある。) Webブラウザを開きながらメールを打とうと思うと、 両者のウィンドウを前面/背面と切り替えたり、 ウィンドウの大きさや位置を調整したりしなければならない。 仮想デスクトップ環境を作り出すフリーソフトもあるものの、 画面を切り替えて作業することに変わりはない。

一方、ノートPCのLCDは表示解像度のバリエーションが豊富である。 最近では14.1インチでSXGA+(1400×1050)や、 15インチでUXGA(1600×1200)に対応した製品がある。 デジタル伝送方式として、 ノートPC用のLCDパネルではLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式が、 デスクトップ用のLCDパネル(デジタル接続の場合)ではTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)方式が採用されているため、 両者の変換処理は必要となるだろうが、 これらの高解像度表示可能な液晶パネル、 あるいはそれ以上のものをデスクトップ用のLCDとして利用したいものである。 デスクトップPCのビデオカードやチップセット内蔵のビデオ機能は、 すでにQXGA(2048×1536)にまで対応しているのだから。

LCDを再活用する

PC本体の性能に不満が出てきた時、 デスクトップPCならば本体のみ買い換えてLCDは引き続き使うこともできるが、 本体とLCDが一体化したノートPCでは丸ごと買い換える必要がある。 古くなったノートPCの多くは中古市場に流れるが、 あまりにも古くなってしまったものは、 たとえそのLCDがまだ十分使えたとしても、 廃棄処分されてしまうだろう。

現在ほとんどのノートPCには、外部ディスプレイ出力の端子はあるが、 外部ディスプレイ「入力」端子は用意されていない。 比較的新しいビデオカードであればマルチディスプレイ環境に対応しているため、 もしこのような入力端子があれば、 他のPCのサブ表示画面として再利用できるようになる。 一時期流行したタブレットPCや最近の携帯電話のように、 折り畳んで表示部分を前面に切り換えられれば使いやすいだろう。 またはコネクタ/伝送方式変換モジュールとディスプレイ・アームが一体化した装置を作り、 ノートPCのLCDパネルと組み合わせて使えば便利そうである。 サーバのコンソール画面としても有効活用できるに違いない。

あるいは、持ち運びできる簡易デモ環境としても使い道がある。 少人数の打ち合わせならば、モバイル液晶プロジェクタを持参しなくても、 ノートPC(自分の操作用)+古くなったノートPC(相手方表示用)の組み合わせでデモが行えるようになる。

組み替え可能な製品設計に期待

このような再利用を促進するためには、 ノートPCのLCDパネルが簡単に取り外せるように、かつ標準化されている必要がある。 ただし、小型軽量化を目指すノートPCでは、 マザーボードやケース形状もメーカ毎に異なり、 分解もデスクトップPCのように容易ではないため、 その構造を統一するのは一筋縄では行かないだろう。

市場はデスクトップPCからノートPCへ移行しているため、 今後はますます古いノートPCが増えてくる可能性が高い。 ノートPC本体の処理能力やバッテリ性能、小型化・軽量化はもちろんのこと、 メーカ各社にはLCDの再利用を考慮した製品設計にも期待したいところだ。