なんたらミシュラン・システム

創刊104年

になるという仏タイヤメーカが出す 「ミシュラン・ガイド」 は、トラベルガイドというより、 美味しさとサービスを示す三ツ星の 最高級のレストランが載っているグルメガイドとして有名だろう。 しかし、星以外にも一目でわかるマークで、 独自のさまざまな基準をわかりやすく示しているのは意外と知られていない。

●車椅子マーク=障害者でも出入りしやすい部屋
●犬禁止マーク=犬を連れていくことができるか否か
●パラソルテーブルマーク=テラスや庭のあるレストラン
●講演者マーク=会議室のあるホテル
●グラス/デキャンタマーク=ワインはグラスでサービスされるか、デキャンタか

などなど

実は、ガイドすべきポイントと評価基準は同じであることが多いと言える。 ミシュランは、ヨーロッパのすべての国々でホテルとレストランを調査しているというが、 毎年のリスト改定のために調査員が本当に現地を回って評価することが できているのか疑わしいなどという声もよく聞かれる。実際、調査員ではカバーしきれず、 新規店の追加や、料金や日程の変更には、ヨーロッパのあらゆる地域から寄せられる 毎年5万通近い読者からの手紙や電子メール(それらには1本あたり平均3件のコメント が書かれている)が貢献しているとのことだ。膨大な情報が集まる。

こうなると、評価モニタリングの精度や公平性を上げるために、 さらに評価のための評価が必要であろう。 案の定、今年6月の新編集長着任の挨拶状と一緒に、主なレストランやホテル約4万5000に、 評価基準の公正さ、客足への影響などを尋ねる調査票を送ったそうだ。 これには正直エラいと思った。回収率も結構高そうであり、 機械的に集計ができるようなしろもとではないだろう。

「せんだいメディアテークの通信簿

結果報告書」 が先日まとまりホームページでも公開された。これについては当社コラムMRI TODAY 「ミュージアムの通信簿」に書いたのでまずご一読いただければ幸いである。

質問項目のほとんどは、 せんだいメディアテーク 独自のものであるが、利用者に気づいてもらいたいポイントが、 まさに「施設ガイド」のように並んでいる。 通信簿づくりに参加した人はきっと 他の図書館や公共施設でも「ガイド質問」を読みながら 通信簿を付けてみたくなるのではないかと思った。

すでにインターネットサイト上には、 さまざまな 評価サイトがある。 ユーザ参加型の勝手ランキングサイトというのは、ホームページの出現と共に 現れた社会現象の一つと言っても過言ではない位にインパクトのある事象だ。 「クレジットカードミシュラン」 や「東京地下鉄ミシュラン」、「ラーメンミシュラン」、「種まきミシュラン」 などさまざまな「なんたらミシュラン」もあるが、いずれにしても 情報の信頼性や価値はなかなか判断が付けにくい。 利用者からの正しい声(評判)をどのようにして集めて採点してゆけるかも難題だ。

ミシュラン・システムとしてITでサポートできる可能性は、 細やかなガイド機能が作り込めるか、 評価者と利用者が同じか(または価値観や志向が似ているコミュニティ形成がされているか)、 採点結果を目に見える形でわかりやすく示せるかどうか、 の3点に集約されるのではないかと思う。



参照

ミシュラン・ガイド

2004.9.3「ミュージアムの通信簿」
(当社コラムMRI TODAYバックナンバーより)

「せんだいメディアテークの通信簿 結果報告書」

2001.06.19「買ってからでは遅すぎる?評価サイトの充実を?」
(Take IT Easyバックナンバーより)

クレジットカードミシュラン