インターネットで提供されている有用なサービスは無料で使えるものが多く、 1ユーザとしては便利に使わせてもらっている。 その一方で、特定の無料サービスに依存した生活を送ってはいないだろうか。 個人的には google などの検索エンジンにかなり依存しており、 もし、これらのサービスが停止あるいは有料化された場合にはどうするだろうか。 今回は有料、無料にかかわらず、会員制サービスについて考えてみる。
会員限定サービス使ってますか?
以前は無料だったYahooオークションが有料化が発表された際には、 百万人を超えるユーザの間では有料化反対の意見が多数あったにもかかわらず、 結局月額300円弱の会員制度に移行した。 流出したユーザを獲得しようとしたオークションサイトもあった。 しかしながら、大部分のユーザは有料化を受け入れて使っているようである。 既に350万人以上の有料会員を集めており、 オークション事業に関しては 利益率70%以上の高収益を誇っている。
また、ISPやADSL事業者は、差別化のために会員限定サービスを用意している。 例えば、コンテンツ配信サービスや 専用メッセンジャーソフトなどがある。 ただし、こららのサービスは会員を獲得することに直接寄与していない。 実際、ISP最大手のNifty会員限定のフォーラムも縮小傾向である。
サービス内容そのものの大きく異なるので単純に比較はできないにしても この人気の差はどこにあるのだろう。 単純にユーザの囲い込みをして、 一見さんお断りのサービスを用意しても成り立ちにくいと考えられる。
一部を公開した方が有料化しやすい
その一方でお金を出しても使えないサイトがある。 もちろん、存在しないサービスのことではない。 希少価値によるブランド力を維持するために、 紹介がないと入会できないなどの制限をあえて設けているものものある。 例えば、Googleの従業員が始めた友達検索サイトとして話題のorkut や mixi UUME などのソーシャルネットワーキングサービスがある。 Orkutに既に入会している人から紹介されてログインできた人はご存知だと思うが、 大部分の人が実名かつ自分の顔写真を載せており、 個人情報の漏洩など無縁の世界のようだ。 現在15万人が登録されており、うち8%が日本人の利用者で、最近急激に増えている。
また、YahooやMSNといった大手ポータルサイトにもいわゆる出会い系サイトがあり、 顔写真などを見ることが可能だ。 また、オークションも入札はできなくても どんなものが出ているのか見るだけでも結構楽しめる。
これは完全に会員に閉じたサービスを作り出すよりも、 会員にならなくても一部を見られるような仕組みを用意した方が、 多くの人の興味を誘い、 ユーザを獲得できるということを示している。 各種ニュースサイトや携帯電話向けサイトでは、 匿名利用者には制限を付けていることからもよく使われている方式である。
情報の物々交換
世間では「限定モノ」と称した製品があふれていることを考えると、 レアな情報を手に入れるにはそれなりの努力が必要になりそうだ。 その手段として会費を払うということもあるだろう。 それ以外の手段としては、例えば、自分の属性情報や情報を多く提供して、 いわば物々交換をするということも考えられる。 メーリングリストや会員限定の掲示板によっては自己紹介が義務づけられていたり、 P2Pのファイル交換ソフトには交換レートがあり、 自分が持っているものを提供しないと、 新たにダウンロードできないという仕組みがある。
また、状況依存型ユビキタスサービスの研究でも、 よりよいサービスを得るには自分の情報を与えるというモデルに基づき、 匿名性とサービスレベルについての検討が行われている。
インターネットでも有料サービスが受入られる土壌ができつつあるとはいえ、 個人情報を出すことも有料サービスに入ることも抵抗感がある人も多いはずだ。 「あなたにだけ」のサービスが増えそうなことから 情報漏洩といった不祥事なく健全に発展して欲しいものである。
本文中のリンク・関連リンク:
- 会員制ソーシャルネットワーキングサービス
- ISP会員制サービス
- NTTのFletsユーザ向け コンテンツ配信サービス
- 大手ISPごとの専用メッセンジャーソフト一覧