デスクトップLinux普及の4つの条件

デスクトップPCでLinuxは普及するのだろうか? まだまだ一般ユーザには手に余るとも言えるし、
飛躍的に使いやすくなってきたとのも事実である。 デスクトップLinuxの普及の条件を考えてみよう。

本格的デスクトップLinuxの登場

デスクトップLinuxに注目が集まっている。 8月末にLindowsOS日本語版が、 10月にはturbolinuxからデスクトップ版が発売された。
従来のLinuxに比べ、いずれもWindowsに近いユーザビリティをアピールし、
Windowsとのファイル互換性や共存環境を強化しているところに特長がある。
さらに、Linuxユーザを悩ませていたソフトウェアのアップデートを、
(多少おおげさだが)クリック一つで可能にする点も共通である。

ユーザサイドから見ると、デスクトップLinuxの導入はごく一部で検討中という段階であろう。
ただし、海外では既に導入が始まっている。 特にドイツではデスクトップLinuxに積極的である。
例えば、ミュンヘン市では市役所の1万4千台のサーバ・デスクトップPCを、 すべてLinuxに移行するプロジェクトが始まっている。
ブラジル政府はデスクトップを含む全省庁のコンピュータの80%を、 3年計画でLinuxへ移行する方針が打ち出された。
日本でも(独)産業技術総合研究所で、 デスクトップPCにLinux導入のためのフィージビリティスタディが始まっており、
来年度には実証実験を行う予定である。

個人ユーザがデスクトップLinuxを利用するメリットはあまりない。
WindowsやMacOSに比べて操作性は及ばないし、アプリケーションも少ない。
技術的な興味があるパワーユーザを除き、当分普及はしそうもない。
デスクトップLinuxの本命はやはり企業や政府・自治体であろう。

前提条件としての相互運用性

企業でデスクトップLinuxを導入するに際し、最も障害となるのが『相互運用性』である。 MS
OfficeとLinux上のオフィススィート(例えばOpenOffice.org)との互換性や、 Internet
Exploreのみ対象とし、MozillaやOperaからは利用できないWebシステムである。
OpenOffice.orgは機能的には充分に企業ユースでも使えるレベルに達している。 しかし、MS
Officeとの互換性は完全ではなく、表示が乱れたり、マクロが動かない等の問題がある。
ブラウザでも、JavaScriptの互換性の問題やActiveXの利用で表示すらできないシステムもある。
現在のWindows環境からWindows/Linux混在環境へ移行するには、 この相互運用性の問題が最も重要である。

日本語環境ではまだ不足しているユーザビリティ

次に重要な課題はユーザビリティである。 ユーザが少しでも使いにくいと感じれば、Linux環境への移行は進みづらい。
Windowsユーザにとっての直感的分かりやすさや、
ちょっとしたアクセサリソフトの充実など感性的な部分での『ユーザ訴求力』が必要である。
この点はLinuxベンダ各社が最も力を入れている点であり、 オープンソース開発者の努力もあって急速に改善が進んでいる。
ドイツでは、初心者ユーザを対象に、 デスクトップ環境KDEを搭載したSuSE Linuxと、 Windows
XPのユーザビリティの比較レポート
が発表された。 このレポートによると、いくつかの課題はあるものの、
8割のユーザが1週間もあれば新たなシステムに慣れると回答している。
日本語環境ではまだまだそこまでの完成度はないが、期待させる調査結果である。

メリットはクライアント管理

3つ目はデスクトップLinux導入の『付加価値』である。 現在、企業や政府・自治体にとって、
多数のクライアントPCのソフトウェア管理やセキュリティアップデートは、 システム管理者にとって頭の痛い問題である。
デスクトップLinuxは多数のクライアントPCの管理という面で、 アドバンテージを得られる可能性がある。
また、ITコスト削減は企業にとって至上命題であり、 ライセンス料不要のオープンソースソフトウェアで代替できるのは、
企業にとって大きなインセンティブになりうる。

移行サポートの充実が最後の鍵

最後は、『移行サポート』である。 いくらメリットがあっても、
既に馴染んでしまったWindows環境から移行するには大きなコストがかかる。
金銭的なコストはもちろん、セットアップや教育の時間的コスト、 ユーザの心理的コストも忘れてはならない。
現在、Linuxデスクトップ移行のための教材や講習会はほとんどない。 ニイウスは自社システムのLinux移行を開始し、
その経験を基にLinux移行のソリューションを提供する予定である。
このようなLinux移行サービスの提供企業の登場が鍵になるだろう。

デスクトップLinuxへの期待は高い。しかし、まだ条件が揃ってはいない。
個人的には、かなり苦労しながらもデスクトップLinuxを使い続けている。
MSWord/Excel文書に記入して返信するという作業もかなりできるようになってきた。
おそらく2年後には私が困ることはほぼ無くなるだろうと、希望を込めて予想してみたい。