カメラ付きケータイの憂鬱

携帯電話キャリア各社の100万画素(メガピクセル) クラスのデジタルカメラ機能付き携帯電話の販売が好調らしい。
実際、先日行われたビジネスショウでも大々的に展示されており、 入場者の注目を集めていた。
確かに解像度も高く、100g以下の小型デジカメとほぼ同じ性能であり、 常に持ち歩いている携帯電話の方が便利だ。
ここでは、あえてカメラ付きケータイの裏側を考えてみよう。

携帯電話キャリアの憂鬱

携帯電話キャリアは、新規加入者増はあまり見込めないとして、 一人当たりの利用料 (ARPU: Average Revenue
Per User) を増やすような方針を取っている。 しかし、通話時間はあまり変らず、
むしろメールの作成に時間を取られている分減っている印象さえある。 そこで、カメラ付き携帯から画像を送れるサービスが大ブレーク中だ。
なんと言っても、文字でメールを書いたりするよりも圧倒的にデータ量が大きいからだ。
例えば、携帯電話でiモードの1通あたりの制限である500文字(半角)を入力するのは 大変だが、画像なら小さいサイズでも数KBになる。
内容に関わらずパケット単位で課金しているので、 キャリアにとっては非常に魅力的なコンテンツであろう。

しかしながら、どのキャリアもメガピクセルの画像は送れないようにしている。
一般的なJPEG圧縮では、1枚あたりの画像は数十KB〜100KBであるため、 通信に1分程度を要し、
現在の料金体系では1通100円以上かかることになり、あまり現実的ではない。
必然的に外部メモリを使って取り出すかPC等に接続して利用することになり、 キャリアにとっては通信料の増加は見込めない。
もちろん、システム上は対応できるはずであるが、 SPAM(迷惑メール)がかなりのトラフィックを占める現状からすると、
巨大サイズの画像付き迷惑メールが一般的になってしまっては、 受信時にも課金される利用者にとってはたまらない。

NTTドコモは第三世代(3G)携帯への移行を促すために、 FOMAのパケット料金を戦略的に非常に安くしている(最大90%オフ)。
それにもかかわらず、 バッテリや大きさの点で見劣りする端末しか提供できていないこともあり、
画像付きメール以前から推進しているテレビ電話機能は受け入れられていない。
高速通信を生かすようなニーズがありながらもすれ違いが生じている。

このままではメガピクセルのデジカメ機能は端末の差別化にしかならない。 端末メーカは複数のキャリア向けに製品を作っているため、
早晩横並びになると考えられる。 そのためキャリアは、
ユーザが通信料を多く払ってもいいと思わせる新たなサービスを考える必要があるだろう。

各企業の憂鬱

新車スクープ専門の雑誌を始め、
自動車雑誌には時折スクープと称する記事が掲載される。 見たことがある人もいるだろう。 携帯電話の新機種についてもよくスクープされる。
それだけ新製品に対する期待が高い製品であることは確かである。

既に自動車メーカでは、 たとえ社員でもカメラ付き携帯電話の持ち込みを禁止していると聞く。
それでも、いずれも開発に携わる人間が多いことや認可を受けたりする関係上、 完全に隠すことは難しい。
たまたま出入りしている人が撮影したりすることもあるようだ。

同様にこれまでは特に問題になっていなかった企業でも、 高解像度のカメラが携帯電話に付くようになると、
文書を写真に撮るなどの機密漏洩の危険性が高くなる。 不幸にも機密漏洩が発覚した場合には、自動車メーカに限らず、
個人所有の携帯電話を預かるというような対策がなされることも考えられる。

また、公共スペースである 美術館裁判所でも携帯電話による撮影が問題になっている。
「盗撮」によるプライバシ侵害問題はよく新聞にも取り上げられている。 モラルの問題といえばそれまでだが、
場所によっては撮影できなくするような仕組みが必要なのかもしれない。

カメラ付きケータイはどこへ

ここでは都合の悪いシナリオばかりを考えてみたが、 メガピクセルケータイにはさまざまな有効利用法があることは確かである。
キャリアとしては、 携帯電話につながるプリンタや外部メモリを用意していることからは想像すると、
まずデジカメ代りに使って欲しいと思っているようだ。

携帯電話のカメラ機能では、 解像度を重視するという調査もあるが、 メモリやディスプレイの解像度などを考えると、
これ以上の画素数はあまり必要ないと思われる。 高解像度に合わせて大きなディスプレイが付くようになっていることも生かし、
画像を使った新たなアプリケーション、サービスを考えることが必要だろう。

例えば、2次元バーコードであるQRコードを利用したカタログ販売肌診断プチ整形シミュレーションといったサービスが始まっている。
また、一般に携帯電話のヘビーユーザはPCをあまり使わない、
あるいはPCを持たない人も多く、せっかくのメガピクセル画像も取り出ることができない。
そうしたユーザ向けに印刷やメール送信するサービスがあってもいいはずだ。 さらには、GPS機能との連係といったことも考えられる。

ただし、多機能化による差別化も大事だが、 本来の機能である通話品質や接続性の向上も忘れないで欲しい。