書店で見かけたホームページ作成の本にはこんな文句が踊っていた。 「いまどきのホームページは動くのがクール!」 このフレーズ自体どうかと思ってしまったが、それはさておき、、、。
作る側の都合
確かに動きのあるホームページが増えている。簡単なものだと、バナー広告がくるくると変わっていったり、 文字が波打ったりスクロールしたりする。 より凝ったものだと、テレビCMのようなものが流れたり、 ページ自体のメニューがブロックのように組み立てられていったりするものを企業のホームページ などでよく見かける。 技術的には、JavaScript、GIFアニメーションといった手軽なものや、 プラグインソフトを必要とするFlashやQuicktimeなどが代表的だろう。
しかし、ホームページを作るのになにか動きが欲しいと言われることはあっても、 いまのところ、その“なにか”はあまり具体的ではないことが多い。 文字<静止画<動画 という単純な発想であったり、 「同業の他社(者)のホームページが動いているから」、「最近動くホームページが流行っているから」、 「動きをつけたほうが手の込んだホームページ(に見える)から」などである。
求めるものによって
筆者個人的にはホームページに動きがあると目障りだと思っている。 横でバナー広告がちらちらと変わっていたり、文字が絶えずスクロールしていると、 気になって肝心の記事に集中できない。 ある会社のアクセス方法を調べようとホームページを訪れただけなのに、 Flashの画像が動き出そうものならSKIPボタンを急いで探してしまう。
その一方で、動いていること自体を普通だとか楽しく感じている人もいるだろう。 また、ホームページでこんなことができるのかと単に驚いたり感心したりするユーザもいる。 筆者がホームぺージというものに、 必要な情報をスムーズに手に入れられることを主に求めているのに対して、 エンタテイメントも期待している。
大事なのは「動くこと」ではないはず
ホームページでいろいろなことができるようになって、 ユーザの顔を忘れているページが増えたように思う。 「こういうユーザ向けに」でもなく「これなら使いやすい、分かりやすい」でもない。 とりあえず動きをつけること自体に満足しているように見える。 企業のロゴがまわるなんて押しつけにすぎない。いち早くその中の情報を知りたい人にも、 何か楽しいコンテンツを期待している人にもその数秒は無駄な時間である。
では、「動くこと」を意味のない中途半端なものに終わらせないためには、どうしたらよいだろうか。 例えばトップページに動画を配置することが、 どういうユーザにどんな影響や効果をもたらすのか。 エンタテイメント重視のユーザなら?ビジネスユーザなら? あるいはブロードバンドユーザだったら?アナログモデムユーザだったら? これらのユーザ本位の視点に立って、「ユーザに何を伝えたいか」 「どうやって伝えればユーザにとって快適か」を考えることが大事だ。 それを実現するものが動きなのであれば、とても素晴らしい。
これはおまけ話だが、ブロードバンド、常時接続といったら誰もが快適だろうと思ったら、そうではなかった人もいる。その人は「メールのおもしろみがない」のだそうだ。なぜってメールサーバへの接続が早すぎるからだ。 ダイヤルアップ接続のときには、電話をかけて接続する間の待ち時間の「メール来てるかな」というドキドキがよかったのだとか。 これを読んでばからしくてついていけないと思うか、感心するかはみなさんの自由なのだが、 様々な考えや環境を持ったユーザがいることをお忘れなく。
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